わが心のサナトリウム保生園 結核予防会と新山手病院物語

文藝春秋企画出版

大場 昇

2015年10月28日

文藝春秋

1,980円(税込)

小説・エッセイ / 人文・思想・社会

私を救ってくれたマザーホスピタルよ、永遠にーー 昭和49年、27歳で結核が判明して以降10年間の療養生活と、知られざるサナトリウムの様子や歴史を克明に記した貴重なノンフィクション 「戦場の兵士たちには戦友意識があると聞きます。療養期間の恐ろしく長い結核の療養者同志にも結核戦線の療友という一種独特の感慨がありますし、永患いの末に不幸の転帰をたどる療友の姿を目の前にして感ずるのは、敵弾に斃れた戦友を悼む心にも似たものがありはしまいか」--当時、こう述べた私の脳裏には、「冬の旅」の「菩提樹」を軽やかに口ずさみながら敵陣に突撃していく、トーマス・マンの『魔の山』の主人公ハンスの後ろ姿もあったことは間違いない。 わが心のサナトリウムーーそれは「保生園」。平成元年に名を改め、現在は「新山手病院」。常に結核撲滅の先頭に立ってきた結核予防会(現在は公益財団法人)の付属病院である。「保生園」は宮崎駿監督のアニメ『となりのトトロ』の舞台となって、一躍知られるようになった。

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