シャイロックの子供たち
池井戸 潤
2006年1月30日
文藝春秋
1,780円(税込)
小説・エッセイ
たたき上げの副支店長、社内恋愛中のOL、お調子者の課長代理…出世のため、家族のために奮闘する行員たち。現金紛失事件をきっかけに不穏な空気がたちこめ、一人の男が失踪した。
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(無題)
この小説は、十話の短編が連なり、それぞれが絡み合ってミステリー作品になっています。舞台は、著者もかつて勤めていた「銀行」です。登場人物は東京第一銀行の長原支店で働く行員とパート社員で、それぞれが各章の主人公となり、各章は短編として独立していながら一編の長編となっています。 シャイロックの子供達 銀行という組織で働く人々の人間ドラマなのですが、推理小説的な要素も持ち合わせています。銀行内部の人、組織、日常については池井戸さんでなければ書けないものだと思うくらいの臨場感があります。それが池井戸作品の魅力のひとつでもあるのですが、さらにそこに生きる人々の職場での立場からくる言動、家庭に帰ってからの家族との様子、“やむにやまれぬ”事情により、自分という人間を捨てて悪の入り口から足を踏み入れてしまう人などが巧みに描かれています。 ところで「シャイロックの子供たち」というタイトル。なぜシャイロックなのでしょうか。そうです。シェークスピアの“ベニスの商人”に登場する強欲なユダヤ人金貸しの名前です。
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