亜玖夢博士のマインドサイエンス入門
橘 玲
2010年3月29日
文藝春秋
1,760円(税込)
小説・エッセイ
相談無料。地獄の沙汰も脳次第。いま注目の脳科学が楽しく学べるユーモア小説!遺伝子、進化、A.I.など最新トピックがこれでわかります。
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(無題)
本書の読書経験は、一種不可思議な空間世界に放り込まれたような異常体験でした。語り口は18歳のいま時の少女による軽いものですが、それがユーモアと呼ぶには違和感を感じる形而上学的テーマを秘めているように感じました。 さて橘玲の“亜玖夢博士”に第2弾が登場です。今度のテーマはマインドサイエンス。人間の心と行動の謎に挑んでいま最も注目される学問を駆使して、ひきこもりもパワハラもすべての悩みを博士が解決するというものです。 著者によると「本書は、近年のマインドサイエンスの成果を小説にしたら面白いのではないか、というアイディアから始まった。ここに登場する不思議な話の数々はたんなる筆者の思いつきではなく、急激に進歩する脳科学や分子生物学、情報科学・工学が実現もしくは実現可能にしたものばかりである。」と。 主人公は、高校を中退して歌舞伎町の亜玖夢研究所に身を寄せる、工藤あかね・18歳。亜玖夢博士、中国人助手のファンファン、とリンレイ。そして小学生のケンタ。 「相談無料、地獄を見たら亜玖夢へ」 というチラシを配り、社会の底辺で苦しむ人々を、亜玖夢博士の学問の力で救済しようと試みます。今回、彼らが救うのは、引きこもりの高校生、パワハラで自殺を命じられた男、オカルト少女など。 認知心理学、進化心理学、超心理学、洗脳、人工生命が各講のテーマとして選ばれています。 最近は、脳関係の本が出版されていますが、本書を読めば、笑いながら最新の脳科学に関する知見を得ることができます、というものですが、果たしてその意図はどこまで成功しているのでしょうか。少なくとも私には、第五講の半分以上は理解不能でありました。
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