心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話
宇江佐 真理
2011年7月29日
文藝春秋
1,676円(税込)
小説・エッセイ
伊三次とお文夫婦にまたまた難題発生。一人息子の伊与太が修業先をとびだし家に戻ってきた。心配する二人をよそに、奉行所で人相書きを始めるが…。
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(無題)
どうやら一巻飛ばしてしまったらしい。何しろ不破龍之進が30の声を聞こうという年頃になっていたのだから。同心仲間でも中堅所であるにも拘らず、今だに独り者であった。そんな龍之進に恋をしたのが、きいであった。伊佐次・お文夫婦には娘が生まれ、11歳になっていた。伊与太は絵が好きで歌川一門の絵師に弟子入りしていた。本巻は龍之進の妻きいの物語が中心になって進行する。倖せとは何なのかをしみじみと考えされられるひと時であった。 不破龍之進ときいの婚礼の日が迫っていたが、龍之進は窃盗の下手人捕縛に向かった。祝言が明日に迫っても戻らない龍之進に、きいは、間に合わなければひとりで式を挙げる決心をする。一方、伊与太は兄弟子たちと折り合いが悪く、実家に戻って来ていた。人相書きの腕を買われた伊与太は、奉行所内で人相書きの手伝いをしていた。 松助の養子となったさとは、佐登里と名を改め、お吉と共に、笠戸松之丞の手習所に通っていた。ある日の帰りに、揚羽蝶を見付けた佐登里は、蝶の絵を描く事に夢中になっていく。伊与太はそんな佐登里の姿を見て、歌川豊光の元へ戻る決意をする。 不破友之進の娘茜は、松前藩上屋敷へ奉公することになった。伊与太と茜の別れのシーンで、ついに茜は恋心を口にする。
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