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ここがおかしい、外国人参政権
文春新書
井上 薫
2010年8月20日
文藝春秋
836円(税込)
人文・思想・社会 / 新書
永住外国人に地方参政権を与える動きが、現実味を帯びてきた。目論むのは民主党政権、そして「お墨付き」を与えたのは最高裁。しかし、その「お墨付き」が間違いだったとしたら?裁判官時代に数々の判決を書いた経験に基づく「蛇足理論」で、天下の悪法を論破する。
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(無題)
外国人の参政権について私はこれまで、外国人だって税金を納めているし、基本的人権なのだから外国人だからと言って差別してはいけないのではないか、と考えてきました。また、対象となる外国人の大部分を占めるのは特別永住者の在日韓国・朝鮮人であるところから、一種の社会的暗部に触れる問題であるかのようなニュアンスを感じていました。この問題に言及するとき、必ずと言っていいほど引きあいに出され、感情論を伴って声高に語られるのが在日特権です。そうなると、冷静に議論したり、考えたりするのは不可能ですので、この問題について一歩踏み込んだ思索を避けてきました。本書を手に取ったのは、考えるヒントにしたいと思ったからです。 本の題名からも明らかなように、本書では外国人に参政権を与えてはいけないとの立場を取っています。その論旨は明快です。日本国憲法は国民主権原理をとっています。その国民の中には外国人は入りません。公務員の選定・罷免権が国民固有の権利であり、国民だけが持っている権利だと言うことです。憲法には地方公共団体の選挙権を有する者は「住民」としか書いてありませんが、これは「日本国民の中の住民」だと言うことを意味しています。このように国の最高法規である憲法が、外国人に地方参政権を与えることを禁止している以上、今の憲法の下にある法律で実現することができません。 また、私が冒頭に挙げた「税金を払っているのだから」については「税金の対価として参政権が与えられているのではありません。もしそうであるならば、例えば貧しくて税金を納められない人からは選挙権を取り上げてしまえと言うことになります。また、国税を収めている外国人は国政選挙権を当然持つと言う考え方も出てきます」と簡単に論破しています。 さらに「外国人も差別せずに基本的人権を尊重して参政権を付与すべき」については「日本国憲法は、日本国民に基本的人権を保障したのであって、外国人に保障するなどと言う規定はどこにもありません。基本的人権を列挙した憲法第3章の表題が国民の権利及び義務となっていることから明らかです」と手厳しい限りです。
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