グリーン・ジャイアント 脱炭素ビジネスが世界経済を動かす

文春新書

森川 潤

2021年9月17日

文藝春秋

1,012円(税込)

科学・技術 / 新書

時代の転換点は、すでに静かにやってきているーー。 2020年10月7日、かつて全世界の企業でもトップを誇ってきた石油資本エクソン・モービルの時価総額が抜き去られた。 エクソンをエネルギー界の王座から追い落とした企業の名はネクステラ。米国でも誰も知らないような、フロリダの地方電力会社だ。だが彼らは風力発電、太陽光発電のシェアで全米をひそかに席巻し、この10年でその株価は5倍にもなっていたのだ。 もはや再生エネルギーはファッションではない。20世紀の象徴たる石油を抜き去り、再エネこそが21世紀のビジネスの主戦場となったことが、ここに明らかになったのである。 新時代の再エネの巨人「グリーン・ジャイアント」たちは、すでにカーボンニュートラルの世界での覇権をめぐって激しい競争を繰り広げているのだ。 本書では、日本の各業界、政府が内心わかっていながら目を背けてきた「世界の再エネビジネスの最前線」を、米国からあますところなくレポートする。 ネクステラ、エネル(伊)、イベルドローラ(西)といった知られざるグリーン・ジャイアントたちの成長戦略とは。 炭素税導入で先を争う欧州各国。 世界最大のCO2排出国ながら、風力・太陽光にも巨大投資を行う中国。 デンマークの洋上に林立する巨大風力発電の風車。 CO2排出案件からの撤退「ダイベストメント」を叫ぶ投資家たち。 GAFAMもカーボンニュートラルを宣言。 「植物肉」で牛肉を減らし、「牛のゲップの温室効果」を止める。 ビル・ゲイツが建設する次世代原発「ナトリウム原発」とは。 京都議定書の「Kyoto」が環境の代名詞だった時代は過去のものとなり、気づけばCO2削減ビジネスの潮流に乗り遅れていた日本。グリーン・ジャイアントに支配される新世界でカーボンニュートラルを達成するために、われわれはエネルギーと、そして原発とどう向き合えばいいのか!? ここまでトータルに現在の世界のエネルギーを論じた本はかつてなかった。気鋭の記者が渾身で書き下ろす警世の書!

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Bunbun Samrai

ミレニアル世代以下の台頭

starstarstarstarstar 5.0 2024年03月23日

これからミレニアル世代以下が社会の太宗を占めるようになれば、環境意識が高いことが普通になる。倫理観にも環境への配慮が含まれてくると感じた。古い世代が自分の常識をアップデートしないと「環境ハラスメント」と言われかねない気がする。時代に取り残されないために脱炭素の知識を増やすことは大事。 また、新しい知識を学んでいくことは楽しいので、やらねばならないではなく、やると面白いというスタンスで取り組んでいきたい。

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Readeeユーザー

日本に残された勝ち筋は?

starstarstar 3.0 2023年06月13日

newspics副編集長森川氏による21年の著書。 新たにエネルギー業界の盟主へと躍り出た企業をグリーンジャイアントの台頭と、脱炭素の最前線を読み解いた本。 気候変動を巡る世界経済のシフトについて、日本ではあまり認識されていない状況を理解することができる。 時代の転換点として、2020年10月にエネルギー界の大手エクソンが、アメリカで再エネ大手のネクステラ一時株価で王座の地位を明け渡した。 太陽光発電、洋上風力発電、投資マネーの動き、一人勝ちするテスラ、z世代のエシカル消費など、多岐にわたるテーマをカバー。 グレタさんの言動が突飛な印象を与えていたが、世界での受け止め方は通常の範囲内と捉えられていることに驚いた。 日本に残された勝ち筋は、国家のエネルギー政策における原発の位置付けを明確にし、アンモニアなどがあると説く。 世界の脱炭素の潮流を理解したい人にお薦め。

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Readeeユーザー

Twitterにてレビュー記載

-- 2021年09月27日

https://twitter.com/tkmshimada/status/1442288171144777729?s=19

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