菜の花の沖 一
文春文庫
司馬 遼太郎
2000年9月1日
文藝春秋
825円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
江戸後期、淡路島の貧家に生れた高田屋嘉兵衛は、悲惨な境遇から海の男として身を起し、ついには北辺の蝦夷・千島の海で活躍する偉大な商人に成長してゆく…。沸騰する商品経済を内包しつつも頑なに国をとざし続ける日本と、南下する大国ロシアとのはざまで数奇な運命を生き抜いた快男児の生涯を雄大な構想で描く。
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福田定一
(無題)
文庫本で6巻にわたる長編小説、途中ロシア事情などの記述があり高田屋嘉兵衛の話よりやや道を逸れたように感じ、読む速度も自ずと落ちましたが全体評価としてはこれほど分析された読み甲斐のある感動的な小説はちょっとないように思います。実際最終巻はほとんどノンストップで読み進め、最後にはとめどもなく涙を流していました。もちろん嘉兵衛の気持ちに重ねた部分もありましたが、言葉を操る人間としての喜びや辛さが現代と重ねても強く響いてきて本能的に泣いてしまいました。
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