乾坤の夢(上)
文春文庫
津本陽
1999年12月31日
文藝春秋
607円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
慶長三年八月、豊臣秀吉薨去の時、朝鮮に残留する日本軍は六万五千人。家康は秀吉の死を伏せたまま、全軍撤退させようと手だてを講じるのだった。無事帰朝した大名たちの間に起こる対立を利用して、次第に勢力をのばす家康。戦機を待つ野戦の名将は、ついに五十九年の生涯を賭けた大博打に出る。津本版徳川家康の壮大なる幕開け。
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ある程度予想はしていたが
戦国三英傑の物語をひとつの流れとして描く、夢三部作最終章。 当然のごとく、家康に関しても残されている資料は多い。となれば著者の文体からすれば当然のごとく資料の引用だらけになるわけで、さらに登場人物の台詞が方言になっているもんだから、読みづらさは三部作の中でも突出している。 上巻は秀吉の死後、朝鮮撤退から関ヶ原までが描かれる。相変わらず、資料の引用とその説明が繰り返されるため、途中から引用した資料を飛ばすようにして読み進めると、少しは読めるようになる。もう少しマイナーな人物であれば、資料が少なく、著者の考えで物語が進むから読みやすくなるのかもしれない。 大谷吉継の茶会でのエピソードを、秀吉がしたことにしているため、関ヶ原で吉継が三成に殉じた理由がうすくなってしまったのもいただけない。
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