蛇鏡
文春文庫
坂東 眞砂子
1997年6月10日
文藝春秋
523円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
婚約者の広樹と共に帰郷した玲は、かつて姉の綾が結婚を目前にして首を吊った蔵で、珍しい蛇の浮き彫りのある鏡を見つける。その日を境に、玲の心の中で何かが変わっていく。そして、様々な人間の思惑が絡み合う中、「みぃさんの祭り」がやってくる…。奈良を舞台に人の心の移ろいを描きだす傑作伝奇長篇小説。
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古代史と日本古来の信仰に翻弄される運命を描いた恋愛ホラーの傑作
天孫降臨からの系統で大和政権を築いた人たちは、天照大御神をはじめとする天津神を信奉していた。日本古来、土着の神である国津神を退散させるために崇神天皇が鏡作職人に作らせた鏡(八咫鏡)が、伊勢神宮と賢所にある。 その更に複製が鏡作神社のご神体となっているが、盗まれていた。蛇神の妻として生贄となる女性たちが鏡によって惑わされ心に潜む情を表出させられ死を選ぶ。 多黄子、綾、玲、霧菜と、それぞれ女性たちを取り巻く事情から情念に惑わされ死を選ぶに至る心の動きが、日本古来の信仰と共に進行する様子が描写され、スリリングで引き込まれるストーリーとなっている。最後のページまで何が起こるかと期待させるところも凄い。
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