体は全部知っている
文春文庫
吉本 ばなな
2002年12月6日
文藝春秋
715円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
「アロエが、切らないで、って言ってるの。」ひとり暮らしだった祖母は死の直前、そう言った。植物の生命と交感しあう優しさの持ち主だった祖母から「私」が受け継いだ力を描く「みどりのゆび」など。日常に慣れることで忘れていた、ささやかだけれど、とても大切な感情ー心と体、風景までもがひとつになって癒される13篇を収録。
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本を読むはちわれ猫
水のような美しい文体
初めて読んだ吉本ばなな氏の短編集。以前より「哀しい予感」「キッチン」などの彼女の透明感のある文章が好きだったので、すらすらと、でもじっくり味わいながら日本語というものを楽しむことができた。特に風景や自然の描写はその美しさが文字を通してキラキラと輝いているようで、読んでいてとても楽しかった。 特に良いと思った作品は、「ボート」「ミイラ」「サウンド・オブ・サイレンス」。だが、どれも本当に透き通っていて綺麗な物語ばかりで選ぶことができない。「ボート」の回想シーンは、想像してみるととても美しくて、でも切なくて、なんとも言えぬ気持ちになった。「ミイラ」の、20代の男女のなかに渦巻く得体の知れない、蠢くようなものが、淡々とではあるもののどこか生々しく描かれていて、とても好みの物語であった。「サウンド・オブ・サイレンス」の、少し悲しく、でも暖かい家族への気持ちの描写は、わたしの心をじんとさせた。 もともと彼女の文体はとても好きだな、良いな、と思っていたのだが、やはりそれは間違いではなかったと思う。読んだあとは、とても綺麗な湖を見たときのような、清々しい気持ちになった。 2021年4月8日
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