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秘密のない人はいない
【何ごともつつみかくさず】 郊外のダンチで暮らす京橋家。ダンチからちょっと行くと、ディスカバリーセンターという大きなショッピングモールがある。ダンチに住む人々は、ほかに行くところもないので、ダンチとディスカバの往復で一日を消費している。 ・何ごともつつみかくさず、 ・タブーをつくらず、 ・できるだけすべてのことを分かち合おう、 というモットーのもとにあたしたちは家族をいとなんでいる。何ごともつつみかくさない、というのはパパとママの基本的な考え方で、かくすというのは、恥ずかしいからかくす、悪いことだからかくす、みっともないからかくすわけで、でも、あたしたちの生活の中に恥ずかしいことも悪いこともみっともないこともあり得るはずがない、というものだ。 かくしごとをしない、というモットーは、ひょっとしたら、とてつもなく大きな隠れ蓑になるんじゃないか。あたしたち家族の一日は、いや、あたしたちの存在そのものは、家族に言えない秘密だけで成り立っていて、そのこと自体をかくすために、かくしごと禁止令なんかがあるんじゃないか。その禁止令がある限り、家族の誰も疑ったりはしないのだから。 へんなことだと思う。 ひとりだったら秘密にならないものが、みんなでいるから隠す必要がでてくる。 へんなことだと思う。 本当はみんなが秘密を隠し持っているのだ。タブーのないはずのないはずの家族の間には、怖いほどの秘密が隠されている。 六人の視点から六人それぞれの物語が綴られていく。話し手が変わるたびに明らかになっていく、秘密。その秘密の暗さ、重さ。ズシンズシンとページをめくるほど圧し掛かってくる。それにあなたは耐えられるでしょうか? 映画化されています。
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