ヒートアイランド
文春文庫
垣根 涼介
2004年6月10日
文藝春秋
836円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
渋谷でファイトパーティーを開き、トップにのし上がったストリートギャング雅。頭のアキとカオルは、仲間が持ち帰った大金を見て驚愕する。それはヤクザが経営する非合法カジノから、裏金強奪のプロフェッショナルの男たちが強奪した金だった。少年たちと強奪犯との息詰まる攻防を描いた傑作ミステリー。
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(無題)
派手な劇場型犯罪は作者得意とするところのようである。今回は賭場荒らしだ。関西系暴力団が東京進出の橋頭堡とする六本木の非合法カジノから売上金一億を強奪するのだ。今回も一滴の血も流さない手口は、洗練されたプロのスマートさだ。ピカレスク小説の主人公はこうでなくてはならない。武闘派暴力団の上前をはねようってんだから、仕込みだって半端じゃない。ロシア軍横流しの催涙ガスとエアープロテクター、そしてデリンジャー型拳銃だ。拳銃はあくまで万一に備えてのもので、催涙ガスで眠らせて気がついたときには一億円が消えているという寸法だ。実行犯は桃井と柿沢。二人ともタフな青年だ。そしたもう一人メカニック担当、初老の折田だ。折田も同年齢の男に比べれば十分にタフであるが、プロの仕事師としては衰えを感じざるを得ない。だから、折田はこれを最後の仕事と決めていた。仕事が成功裡に終わったそんな心の隙にとんでもない出来事が忍び込んできたのだ。 こんな書き方をすると、悪党の上前をはねる義賊色の強いプロ窃盗団の活躍を描く小説家と勘違いされかねない。実は本書の真の主人公は他にいるのだった。渋谷にたむろするストリートギャングのヘッド、アキとカオルである。青春のエネルギーを持て余して繁華街にたむろする彼らが群れて集団を構成するのは、自然の成り行きだ。そんなチームが幾つも存在し、何かあると暴力沙汰が起きる渋谷の街であった。アキとカオルは彼らとは一線を画していた。決着の手段が暴力である事は変わりないが、アキとカオルは暴力を生活の糧とするとともに、渋谷のチームを組織化して傘下に収めることに成功する。 ファイトパーティーを開き、参加費から優勝賞金と必要経費を差し引いたものがアキとカオルの収入である。一方でアキは他チームの頭を叩く作戦に出た。点と点を叩いて面を手中にする。すなわちストリートギャングの組織化である。こうしてアキたちのチーム雅が出来上がった。構成員は所詮、腕力自慢の頭の悪い連中である。アキとカオルは、チームの一員と言っても彼らとは距離を置いていた。 そんなある日、仲間が持ち帰った大金を見て驚愕するのだった。それはヤクザが経営する非合法カジノから、プロフェッショナルの男たちが強奪した金だった。ここからチーム雅、強奪のプロ、そしてヤクザを交えた三つ巴のサスペンスが展開される。 2014年10月21日 9:54:14 の変更内容が競合しています: ヒートアイランド 派手な劇場型犯罪は作者得意とするところのようである。今回は賭場荒らしだ。関西系暴力団が東京進出の橋頭堡とする六本木の非合法カジノから売上金一億を強奪するのだ。今回も一滴の血も流さない手口は、洗練されたプロのスマートさだ。ピカレスク小説の主人公はこうでなくてはならない。武闘派暴力団の上前をはねようってんだから、仕込みだって半端じゃない。ロシア軍横流しの催涙ガスとエアープロテクター、そしてデリンジャー型拳銃だ。拳銃はあくまで万一に備えてのもので、催涙ガスで眠らせて気がついたときには一億円が消えているという寸法だ。実行犯は桃井と柿沢。二人ともタフな青年だ。そしたもう一人メカニック担当、初老の折田だ。折田も同年齢の男に比べれば十分にタフであるが、プロの仕事師としては衰えを感じざるを得ない。だから、折田はこれを最後の仕事と決めていた。仕事が成功裡に終わったそんな心の隙にとんでもない出来事が忍び込んできたのだ。 こんな書き方をすると、悪党の上前をはねる義賊色の強いプロ窃盗団の活躍を描く小説家と勘違いされかねない。実は本書の真の主人公は他にいるのだった。渋谷にたむろするストリートギャングのヘッド、アキとカオルである。青春のエネルギーを持て余して繁華街にたむろする彼らが群れて集団を構成するのは、自然の成り行きだ。そんなチームが幾つも存在し、何かあると暴力沙汰が起きる渋谷の街であった。アキとカオルは彼らとは一線を画していた。決着の手段が暴力である事は変わりないが、アキとカオルは暴力を生活の糧とするとともに、渋谷のチームを組織化して傘下に収めることに成功する。 ファイトパーティーを開き、参加費から優勝賞金と必要経費を差し引いたものがアキとカオルの収入である。一方でアキは他チームの頭を叩く作戦に出た。点と点を叩いて面を手中にする。すなわちストリートギャングの組織化である。こうしてアキたちのチーム雅が出来上がった。構成員は所詮、腕力自慢の頭の悪い連中である。アキとカオルは、チームの一員と言っても彼らとは距離を置いていた。 そんなある日、仲間が持ち帰った大金を見て驚愕するのだった。それはヤクザが経営する非合法カジノから、プロフェッショナルの男たちが強奪した金だった。ここからチーム雅、強奪のプロ、そしてヤクザを交えた三つ巴のサスペンスが展開される。 2014年10月21日 9:54:14 の変更内容が競合しています: ヒートアイランド 派手な劇場型犯罪は作者得意とするところのようである。今回は賭場荒らしだ。関西系暴力団が東京進出の橋頭堡とする六本木の非合法カジノから売上金一億を強奪するのだ。今回も一滴の血も流さない手口は、洗練されたプロのスマートさだ。ピカレスク小説の主人公はこうでなくてはならない。武闘派暴力団の上前をはねようってんだから、仕込みだって半端じゃない。ロシア軍横流しの催涙ガスとエアープロテクター、そしてデリンジャー型拳銃だ。拳銃はあくまで万一に備えてのもので、催涙ガスで眠らせて気がついたときには一億円が消えているという寸法だ。実行犯は桃井と柿沢。二人ともタフな青年だ。そしたもう一人メカニック担当、初老の折田だ。折田も同年齢の男に比べれば十分にタフであるが、プロの仕事師としては衰えを感じざるを得ない。だから、折田はこれを最後の仕事と決めていた。仕事が成功裡に終わったそんな心の隙にとんでもない出来事が忍び込んできたのだ。 こんな書き方をすると、悪党の上前をはねる義賊色の強いプロ窃盗団の活躍を描く小説家と勘違いされかねない。実は本書の真の主人公は他にいるのだった。渋谷にたむろするストリートギャングのヘッド、アキとカオルである。青春のエネルギーを持て余して繁華街にたむろする彼らが群れて集団を構成するのは、自然の成り行きだ。そんなチームが幾つも存在し、何かあると暴力沙汰が起きる渋谷の街であった。アキとカオルは彼らとは一線を画していた。決着の手段が暴力である事は変わりないが、アキとカオルは暴力を生活の糧とするとともに、渋谷のチームを組織化して傘下に収めることに成功する。 ファイトパーティーを開き、参加費から優勝賞金と必要経費を差し引いたものがアキとカオルの収入である。一方でアキは他チームの頭を叩く作戦に出た。点と点を叩いて面を手中にする。すなわちストリートギャングの組織化である。こうしてアキたちのチーム雅が出来上がった。構成員は所詮、腕力自慢の頭の悪い連中である。アキとカオルは、チームの一員と言っても彼らとは距離を置いていた。 そんなある日、仲間が持ち帰った大金を見て驚愕するのだった。それはヤクザが経営する非合法カジノから、プロフェッショナルの男たちが強奪した金だった。ここからチーム雅、強奪のプロ、そしてヤクザを交えた三つ巴のサスペンスが展開される。
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