無理 下
文春文庫
奥田 英朗
2012年6月8日
文藝春秋
814円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
真面目に働くことの馬鹿馬鹿しさを知り、自分の地位が脅かされることにおののき、信じていたものには裏切られ…。5人の男女が心の軋みに耐え切れなくなった時、それぞれの人生は猛スピードで崩壊してゆく。矛盾だらけのこの国を象徴するかのような地方都市・ゆめのを舞台に、どん詰まり社会の現実を見事に描き切った群像劇。
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ふざけたやつはどこまでもふざけている
集団計画的生活保護獲得戦】 ゆめの市は、三つの街が合併した新しい市だ。 市になるなり生活保護家庭が激増した。 世間体が薄れ、分母が多くなれば、個人は図々しくなるものなのだ。 3歳と1歳の子供がいる無職のシングルマザー。 支給額は、家賃補助5万5千円を含めて月23万円だ。 医療費は全額ただになる。 一般市民が聞いたら唖然とするだろう。 審査が杜撰だった時代に申請書が通ったのだろう。 職員にコスト意識がなく、どんどん申請を通していた。 事なかれ主義の甘い対応が作り出した不正受給の温床だ。 ふざけた連中は、どこまでもふざけている。 親は娘が月に20万以上も保護費を得ていることに大喜びし、 二度と手放すなと焚きつけるのだ。 生活保護世帯で育った子供が、やがて成人して、生活保護受給者になる そんな悪循環。 人が23万円の金を稼ぐのに、どれだけ苦労することか。 それが税金から出ている。 生活保護費は緊急のものであって、ずっと支給されるわけではない。 就職をする気を見せて欲しい。 保育先を自分でも探してほしい。 親族に援助を求めて欲しい。 田舎で高校を出て就職するか進学するか。 就職組は就職すらしないものが多い。 なぜかって? 真面目に働くことの馬鹿馬鹿しさを知っているからだ。 簡単に働かなくても国からお金がもらえるのにどうして働く? ヤンキーのネットワークを甘く見てはいけない。 どうやれば生活保護を受けられるのか、彼らにはノウハウがある。 一人でもいい。 生活保護を打ち切り、そこから芋づる式に根こそぎ切る。 一般市民が知ったら唖然とするだろう。 俺たちは汗水たらして働いてるのに、と。 税金がそんなことに使われているのか、と。 働くのが馬鹿馬鹿しくなるだろう。 働かずに遊んで金をもらってる奴らを見たら。 何が違うのだ? 彼らと自分と。 働けるのに、なぜ働かないのか。 なぜ彼らは助けられ、自分は助けてもらえないのか。 広がる格差社会。 どん詰まりの社会の現実。 そんなお話がぎっしり詰まった一冊です。
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