ふたつめの月

文春文庫

近藤 史恵

2010年5月7日

文藝春秋

639円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

契約社員からようやく本採用になった矢先、解雇をいいわたされた久里子。心から喜んでくれた両親の手前、出社するふりをしては日中ぶらぶらと暇をつぶす毎日を送っていた。ある日、偶然すれ違った元同僚の言葉に不審な点がーもしかして私、自分から辞めたことになってる?近藤史恵版『隅の老人』第二弾。

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4.7 2018年02月09日

ドキドキワクワクの浮揚感や号泣はないけれど、ユッタリと日常が流れるあったかさが好きな女のコ・久里子が遭遇する不思議な事件3話からなる連作。3話ともにビックリするどんでん返しが待ち受けているが、そこには登場する女性3人の心中に共通する切なさが心に沁みる。第1話は大人の女の見栄が哀しくも切ない。 契約社員から正社員に昇格出来た七瀬久里子であった。ところがそんな矢先に突然解雇を言い渡された。周りにその事実を打ち明けることも出来ず、朝家を出て勤めを続けている振りをしているのだった。しばらくすると、久里子はリストラされたのではなく、自己都合で退職した事になっていることが明らかになってくる。ビジネスパーソンにとって存在を否定されたに等しいリストラ、立ち直れないほどに落ち込んでいた久里子が元気を取り戻すキッカケを与えてくれたのが、謎の老人・赤坂であった。久里子に解雇を言い渡した憧れの女性上司が仕組んだことだったのだ。第2話は好きな男の子の気を引こうとダイエットするあまり、拒食症に陥った少女の心が哀しくも切ない。 久里子のボーイフレンドの弓田は、夢を実現すべくイタリアに料理修行の旅に出た。アパレル業界で働きたいと服飾関係の専門学校に通った久里子であったが、夢とはかけ離れた現実に憂鬱な日々を過ごしていた。友達以上恋人未満の弓田との距離を縮めたいとは思っているものの、告白できないでいる久里子に年末休暇で帰国した弓田は、妹分の少女を紹介し、彼女の悩みを聞いてやってほしいと依頼するのだった。久里子に思いの丈をぶちまけた彼女は、閉じ籠った殻の中から脱出することができた。また、久里子も人形の服を作ることで将来に光を見出すことができたのだった。3人目は眼の不自由な老女である。人生の黄昏時に月を見つめる老女の心が哀しくも切ない。 久里子に的確なアドバイスをする赤坂老人は、実はアウトローの世界で生きる男のようだ。それは、空き巣の外人集団に交通事故を装って殺されそうになった事からも明らかだ。その赤坂がそっと見守る老女がいた。彼女と赤坂には深い絆がかるようだが、それは今の所明かされず、赤坂は距離を置いて静かにサポートしていた。彼女は白内障と称しているが、実はもっと深刻でほとんど視力を失っているようだ。そんな彼女の唯一の癒しが暮れなずむ頃の月を眺めることであった。赤坂は月を見るには邪魔になる電球を取り去る事を日課にしていた。赤坂はなぜ彼女のために、そこまでするのか。謎は謎のままに、物語には続編が予想される。

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