
円卓
文春文庫
西 加奈子
2013年10月10日
文藝春秋
550円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
「こっこ」こと華原琴子、早生まれの8歳、小学校3年生。好きな言葉は「孤独」。 狭い公団住宅に、中華屋から譲り受けた赤い大きな円卓で食事をする華原家は、頑固で文字好きの祖父、明朗快活な祖母、ハンサムで阿呆な父と美人で阿呆で素直な母、それに中2の美人の三つ子の姉の8人家族。みんなこっこがかわいくてしょうがなく、何かと構うが、こっこは反骨精神豊かに「やかましい!いろいろと」「なんで、て聞くなやボケが」と心で思う。 こっこの尊敬する人物は、祖父の石太と、同じ公団に住む同級生のぽっさん。ぽっさんの吃音を、こっこは心から美しいと思う。吃音や眼帯をした同級生のものもらい、韓国人の同級生の不整脈をかっこいいと憧れ、それを真似したときに、「こっこはなんでそんな風なんや」と大人に怒られてしまう。しかしこっこは感じる。なぜかっこいいと羨んでやったことがいけないのか。こっこはぽっさんに相談し、人の痛みや言葉の責任について、懸命に「いまじん」するのだった。そうして迎えた夏休みの祖母の誕生日。ぽっさんにも「言わない」出来事がこっこに起きてーー。 世間の価値観に立ち止まり、悩み考え成長する姿を活きのいい言葉でユーモラスに温かく描く。2014年に芦田愛菜主演で映画化され話題に。
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孤独とは
【こっこ8歳、好きな言葉は、孤独】 公団住宅で三つ子の姉と、両親、祖父母に愛されて暮らす「こっこ」、こと、渦原琴子は、毒舌で偏屈で硬派な、”孤独”に憧れる小学三年生である。 こっこの日常は、不満と問題、驚きと発見、の連続だ。 ジャポニカの「じゆうちょう」。 そこに、こっこは、せっせと気に入った言葉を書き溜める。 「ものもらい」 同じクラスの女子が眼帯をつけて学校に来て覚えた言葉。自分も眼帯付けたい。ものもらいという病気を患ったら、あの、白くて格好のいい「がんたい」を、目に装着でき、片方の目だけで、世界を見ることができる。そして、こっこは言いたい。 わたくしにちかづいたら、うつるのよ。どうかひとりにして。 それによって得られる孤独を思って、うっとりする。ああ、ひとりぼっちのわたくし!!! 「うるさいぼけ。」 こっこの口癖である。 どっちかっていうと、発音的には「うっさいぼけ」である。 こっこは孤独になりたい。誰からも理解されず、人と違う自分を持て余し、そして世界の隅っこで、ひっそり涙を流していたい。凡人にはわからぬ気持である。 渦原家は大家族である。 そんななかで、「孤独」は訪れない。 渦原家のテーブルは、潰れた駅前の中華料理屋「大陸」からもらってきた、円卓。とても大きいから、六畳の居間のほとんどを占拠している。とんでもない存在感。そして、深紅。そこに、父、母、みつご、祖父、祖母、こっこ、の八人で座るのだから圧巻である。そこで交わされる会話は、凡人の会話で、こっこはいつも内心毒づく。「このぼんじんめらが」 「いまじん」 想像する。英語。 夏休みに覚えた。 ジャポニカは必要なかった。「いまじん」は美しく凛として、こっこの脳内で光っていた。 自分が思って言うたことに、責任を持たなあかん。自分の行動が相手がどう思うか、想像せなあかん。 自分がカッコええと思ってゆうたことも、もしかしたら相手は嫌やと思ってるかもしれん。 「いまじん」 急に自分が何も知らないことが多すぎると気がつく瞬間。 そのときに孤独がこっこを襲う。 寂しい。 ひとりがもどかしい。 孤独。 それを願っていたころのこっこと、この夏を過ごしたこっこは、違った。 「いまじん」 小学三年生の、心の中で葛藤しながらも成長していく様。 小学三年生を経験した人に、読んで欲しい一冊です。
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