無双の花
文春文庫
葉室 麟
2014年7月10日
文藝春秋
693円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
島津勢の猛攻に耐え、駆けつけた秀吉に「その剛勇鎮西一」と誉め称えられた立花宗茂は、九州探題大友家の元家臣であったが、秀吉によって筑後柳川十三万石の大名に取り立てられた。関ケ原の戦いで西軍に加担した宗茂は浪人となったが、十数年後領地に戻れた唯一人の武将となった。その半生を描く話題作。
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立花の義とは裏切らぬということ
starstarstar 3.6 2020年02月20日
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舞台は関ヶ原で敗軍となったところからスタートし、柳川藩主としてその一生を全うするところまでを描く。どちらかというと華々しい豊臣傘下の武将としてよりは、流浪の日々が中心となるため、立花宗茂という人物の実像により迫ろうとした作品だろう。
本作品における立花宗茂の生涯のテーマは、「立花の義は裏切らぬということ」に集約される。
おそらくタイトルの「無双の花」には、鎮西一と称えられる「二つとない武将としての立"花"」と、サブ的な意味で「二つを向いて咲かない(裏切らない)立"花"」の意味が込められてるのではないだろうか。
本作で描かれる立花宗茂は、関ヶ原の敗戦時、浪人時代、誾千代を失う時など、どんな時でもとにかく前向きで実直、かつ普通の人間なら挫けそうなところでも真っ直ぐ生真面目である。そんな生真面目で実直に生きる宗茂は、周囲の人に支えられ、または薫陶を受けながら、ひたすら「立花の義」を貫いていく。
本作の後半で現れる2つの台詞はそんな立花宗茂が生涯でたどり着いた境地とも言えよう。
「わが立花の義は天下泰平のためにこそある」
「わしにとっての無双の花はそなた(妻:誾千代)のことであった」
また、立花宗茂に影響を与え、宗茂より影響を与えられた人物で、自身の「義」を語る人物が作中に2名現れる(義という言葉を使わずに生き様を表現した登場人物も多い)。
真田信繁の「真田の義とは、生き抜くということである」
徳川家康の「泰平の世を作るためには手を汚すことを恐れぬが徳川の義ぞ」
これらの人物と台詞は立花宗茂のその後の生き方に大きな影響を与える。
本作が進むにつれ、何度も表現される立花の義は、こんな言葉でも表現される。
「進みやすき道を進まず、進みがたき道を歩むことこそ立花の道ぞ」
「わしは狼でもなければ、犬でもない。ひととして生きて参るだけだ」
人を裏切らず、実直に、前を向いて、今を懸命に。
群雄割拠の激動の時代から、上の顔色を伺わねばならない時代へと変遷した、そんな戦国時代の終焉に、腐らずに自身の"義"を貫き続けた最後の戦国武将を描いた作品である。
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(無題)
豪放磊落、己の信ずるがままに生きる。こんな幸せで気持ちの良い生き方はない。本書はそんな生き方をした男の物語である。名を立花宗茂という。豊後大友氏の家臣高橋紹運の長男として生まれ、十五歳で大友氏の重臣・戸次道雪の娘誾千代の婿養子となり、同時に立花山城主となる。秀吉の九州平定の折り、秀吉から「その忠義鎮西無双、剛勇また鎮西無双の」と激賞されたのが出世の糸口であった。戦功により柳川の大名に大抜擢されるも関ヶ原で西軍に加担したため改易、浪人の日々を送る。が、20年後に旧領柳川の大名に奇跡の復活をとげるまでの物語である。
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