真珠湾、遙かなり(前篇)

零戦隊血風録

Tokuma novels

鳴海章

2003年1月31日

徳間書店

900円(税込)

小説・エッセイ / 新書

「近藤、こいつをおれだと思って持っていってくれ」そう言って、真鍋はスイス製の高価なクロノメーターを突き出した。「おれの代わりにこいつを出撃させてやってくれ。おれたちは一蓮托生だ」九七式艦上攻撃機の乗員である一等飛行兵の近藤(操縦員)、鈴原(電信員)、真鍋(偵察員)の三人は、海軍鹿児島基地での猛訓練を経て、いままさに実戦に臨もうとしていた。出撃命令の下らなかった真鍋を残し、近藤らはオワフ島の北方二百三十海里の海上でハワイ空襲部隊の旗艦・空母『赤城』から飛び立つべく、自機に搭乗した-。昭和十六年十二月八日。若き飛行兵たちを通して真珠湾攻撃のすべてを描く、鳴海章渾身の書下し長篇大作。

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