正義をふりかざす君へ

真保裕一

2013年6月30日

徳間書店

1,760円(税込)

小説・エッセイ

地元紙の記者だった不破勝彦は、神永美里と結婚し、義父の仕事を助けるべくホテル業へ転身する。が、やがてホテルは不祥事を起こし義父は失脚、妻との不和も重なり、彼は故郷から逃げ出した。七年後ー彼は帰りたくない故郷へと戻る。元妻の不倫相手を救うために。問題を起こしたホテルを、正義の名のもとに攻撃した新聞社。そのトップに就任したのは、高校の先輩である大瀧丈一郎だった。ホテルは彼の傘下に吸収され、不破を恨む者たちが次々と現れる。そして、ついに魔の手が彼を襲うー!「正義」の意味を問い直す、渾身の長篇ミステリー!!

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3.4 2019年05月06日

一体誰に対して「正義を振りかざすのは止めろ!」と言っているのだろうか。一義的にはメディア全般である。民主主義社会の三権に匹敵する第4の権力と言われて久しいにもかかわらず、未だに幼稚な正義感を振り回すメディアを揶揄しているのだ。メディアといえば、改元に伴うここ数日のお祭り騒ぎにはうんざりである。テレビも新聞も全てが女性週刊誌化している。女性週刊誌創刊時に、皇室を一般庶民のマイホームに擬して報道する編集方針は、沢山の女性読者を引きつけた。それは雑誌社の経営に多大な功績があった。そればかりか、皇室を身近に感じさせ、ミッチーファンをも生じさせる社会現象でもあった。それを歓迎したのが、保守系エスタブリッシュメントであることは言うまでもない。そうして作り上げられた皇室イメージの元での改元報道には、新たなタブーが発生しているように感じられる。とにかく、腰が引けている。ともあれ、上皇の30年間の行動をどう見るか。国事行為逸脱すれすれの慰霊や、災害見舞いには、どんな気持ちが底にあったのか。私には、父親・昭和天皇の尻拭いの一生であったように思えてならない。きっと頭の良い人なのだろう。そんな報道もあって良いのではないだろうか。 それはさておき、本書は地方都市を政治・経済両面から牛耳る黒幕、地方新聞社の社長・大瀧丈一郎と主人公・不破勝彦の戦いの物語である。ストーリーはどんでん返しの連続で面白く読むことができる。そして、通底するのは、正義って一体なんなのか、あるいは正義と思えることを貫くのが、本当に正義なのか、これは実に難しいテーマである。

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