
日本戦後史論
内田樹 / 白井聡
2015年2月28日
徳間書店
1,650円(税込)
人文・思想・社会
この国はなぜ今、戦争ができる国になりたがっているのか? 右傾化する日本と世界、親米保守という矛盾、領土問題の本質、反知性主義ともいえる現状……。この国が来た道、行く道を、『日本辺境論』『街場の戦争論』などの内田樹氏と『永続敗戦論』で大注目の論客、白井聡氏が縦横無尽に語りつくす。「敗戦の否認」という呪縛や日本人に眠る「自己破壊衝動」など、現代日本に根深く潜む戦後史の問題の本質をえぐりだす。戦後70年の必読書!
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(無題)
内田樹と白井聡の対談本である。話している時間の長さから言っても、対談をリードしているのは年長者の内田樹にみえるが、内容の鋭さという点からは白井聡に軍配があがる。僕は内田とは同年代なので、戦中派を見る内田の世代論には同感できるところが多い。 ところで、外国軍隊が常駐する主権国家はどのようにして出来上がったか、また福島原発事故ではこの国があわや消滅寸前までいったにもかかわらず、性懲りも無く原発を再稼動させようとするこの国の形とはどのようなものなのか。それを明らかにし、「どう考えてもおかしいよ。もう止めようよ」に持っていこうとするのが2人の対談の主旨だ。 この国の今は、戦後米軍の占領下で形作られたと言って間違いない。日本人が精神的な敗戦処理をしないでしまったのは、戦前の支配層が戦争責任をウヤムヤにして戦後も指導階層に居座ったためである。この問題は煎じ詰めれば昭和天皇の戦争責任を明らかにすることであり、さらには象徴天皇の枠を超えてアメリカとの外交を展開した昭和天皇に全ての責任が帰する。米軍の駐留は昭和天皇が日本の赤色化に伴う天皇制の崩壊を恐れて米国に駐留を望んだためであった。この点については、既に米国の機密公文書が公開されているので、昭和天皇の活動は明確である。それにもかかわらず、二人の間には一種の遠慮のようなものを感じざるを得ない。もう少し突っ込んだ議論をして欲しかった。 物事はシンプルに考えればいい。天皇制に問題があれば、廃止すればいいだけである。乱暴すぎる事はない。段階的に徐々に廃止に動けばいいのだ。「この国には官僚と庶民しかいない」と言ったのは丸山眞男であったろうか。天皇制の存続は戦前からの支配層及び官僚にとって都合のいい事だったのだろう。また、ものを考える事を放棄した庶民もその方が楽だったのだろう。自分の頭で考え、自らの二本足で立つ日本人が育つのを待つだけしかないのだろう。 「では、どうするか」については内田にミスリードがあるように感じる。内田の認識はこうだ。事は「御聖断」から始まる。太平洋戦争を終結に導いたのは天皇の意思であった。昭和天皇は何故、敗戦を受け入れたのか。昭和天皇は元々平和主義者で開戦には反対であった。立憲君主としては、他に選択肢が無かったための開戦であった。そして、これ以上国民を苦しめる訳にはいかないと、ポツダム宣言を受け入れたとの嘘である。神から人間となった天皇に戦前からの役割を負わす訳にはいかなくなったので、慈愛に満ちて常に国民の事を考えて政をする役割をアメリカに担ってもらった、との認識である。 そして、尖閣で一朝事あれば、アメリカが自国の国益にならない事に自国民の血を流すわけがない、との自明の理に日本人が気が付き、虚構に満ちた日米関係が初めて崩れ去る、というのである。どうだろう。無理が有りはしないだろうか。
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