晋平の矢立
徳間文庫
山本一力
2012年2月29日
徳間書店
660円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
建て替え普請のため、家屋を壊すのが生業の「伊豆晋」のかしら・晋平は古道具の目利き。大火に見舞われた江戸で、焼け崩れた十八もの蔵を短期間で取り壊すよう頼まれた。次々と起きる厄介事にもひるまず、古道具好きの依頼主の助けを借りて難局を切り開いてゆく。男たちの職人仕事は緻密にして清々しく、古道具を通して浮かび上がる人の情と縁はしっとりと心をほぐしてくれる。
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(無題)
山本一力という作家の1番の良さは、何と言ってもわかりやすいにありますね。読んでいてつくづくとそう思います。ストーリーの面白さで読ませる作家ですから、着想の奇抜さと安心して読んでいられる居心地の良さがあります。奇抜な着想という点で言えば、主人公・伊豆晋の職業です。今で言えば、解体業になりますかね。地震や火事の災害から家財を守る堅牢な土蔵の解体ですから、家屋の解体どころでない技術力が求められます。その上、鳶と同様に侠気で成り立つ稼業ともなれば、また一つ違った職業視線から、江戸時代の風情・文化を見せてくれます。おまけに晋平は蔵の解体の副産物で、その蔵から出てくる道具(骨董品)の目利きも出来るという設定です。何やら面白そうな仕掛けが潜んでいそうです。 本作は、「船箪笥」「うずくまる」「すんころく」「なで肩」「砂糖壺」の5編からなる連作短編集です。 お話しは、大火に襲われた尾張町の肝煎衆5人組が1日も早く町を復興させたいと、深川の壊し屋伊豆晋平を訪ねるところから始まります。ところが、肝煎衆の横柄な態度と一方的で無茶な依頼内容は、伊豆晋の職人達に反感を買うばかりでした。荒くれ者の頭・晋平は無理を承知でこの工事を請け負います。街の復興のため、侠気を発揮したのでした。限られた工期のなか、工事が始まってみると、富壱が足場の丸太の必要数の見積もりを間違えていたことが分かるのでした。足りないのは660本。これほどの大量の丸太を即座に準備できる損料屋は限られています。江戸一二の損料屋・徳力屋久兵衛と晋平との胆力勝負です。結局久兵衛は丸太を貸す条件として、好事家久兵衛が気に入るものを見つけだすことを挙げたのでした。蔵壊しの工期を守りながら、珍しい道具を見つけないといけないことになった晋平です。さらにそんな中、蔵壊しの仕事に横やりが入るのでした。賭場の借金に苦しむ定廻り同心3人組の騙りです。公儀の力を悪用して貸元からの借金を返済しようとする悪だくみを見抜いた晋平が、仕事場を荒らされたと単身、江戸一二の大親分と泣く子も黙る定廻り同心に立ち向かうのでした。
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