知性を磨く

「スーパージェネラリスト」の時代

光文社新書

田坂広志

2014年5月15日

光文社

836円(税込)

人文・思想・社会 / 美容・暮らし・健康・料理 / 新書

なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?目の前の現実を変革する「知の力」=「知性」を磨くための田坂流知性論。

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Readeeユーザー

(無題)

-- 2018年01月21日

育児は本能ですので、全ての動物が行います。ところが、介護をするのは人間だけです。どうして人間だけが介護をするのか。動物には無くて人間だけが持っているもの、それは知性です。僕の持論は、人間の知性が介護に駆り立てる原動力となっているというものです。こう言えば、理性に基づく義務感では長続きせず、やはり深い愛情があるから、と考える人が大部分だと思います。本書を読んで僕の持論が強化されたように感じます。著者は河合隼雄の「愛情とは、関係を絶たぬことである」との言葉を引いて、『真の「愛情」、すなわち相手に対する心の「関係」を絶たぬということは、膨大な精神のエネルギーを、我々に求める。しかし、それゆえにこそ、「愛情」とは、知性の「最も高度な形態」なのであろう』と述べています。 ところで、これまで定義付けもせずに使ってきた「知性」とはそもそもなんなのか。知性と知能、知識、知恵との違いがどこにあるのか、本書はそれらに明快に答えてくれます。知能とは「答えの有る問い」に対して、早く正しい答えを見出す能力。知性とは「答えの無い問い」に対して、その問いを、問い続ける能力。知識とは「言葉で表せるもの」であり、書物から学べるもの。智恵とは「言葉で表せないもの」であり、経験からしか学べないもの。 そもそもなぜ、人間に「知性」が与えられたのでしょうか。著者は人生や仕事において直面する問題を「解決」するためであり、その「解決」のために、自分自身の在り方を「変革」するため、と結論付けます。これは今から40年前、著者が原子力工学の道を歩み始めたことと切っても切れない関係があります。著者が原子力の環境問題を解決するとの志しを立てたのは、ローマクラブの報告書「成長の限界」を読んだからでした。その後人口問題、食糧危機、資源枯渇、エネルギー問題、環境破壊などの地球規模の諸問題は解決したのでしょうか。何ひとつ解決していないのが現実です。何故なのでしょうか。その原因を技術開発や制度改革に求めるのではなく、知の変革に見出したのが著者の問題意識です。 だから、一人一人が、「変革の知性」を体現した「スーパージェネラリスト」へと成長していくこと、が求められるといいます。「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という「7つの知性」を垂直統合した「スーパージェネラリスト」へと成長し、目の前の現実を変革する「知の力」を身につけること、それが「21世紀の知性」を実現する確実な道だと説きます。

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