ISの人質

13カ月の拘束、そして生還

プク・ダムスゴー / 山田美明

2016年9月15日

光文社

1,430円(税込)

小説・エッセイ / 新書

拘束に至る過程、拷問、他の人質たちとの共同生活、日常的な暴力、身代金交渉、家族による募金活動、そして間一髪の生還ー。地獄を見た、24歳の写真家の過酷な体験を、著名ジャーナリストが丹念な周辺取材とともに書き下ろす。衝撃のノンフィクション。佐藤優氏推薦・解説。

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toruo

(無題)

-- 2022年05月12日

2016年に刊行された作品だけれども最近になって知ったので手にとってみた。イスラム国(IS)には欧米人が多数、そして日本人も拘束され、中には処刑され人達もいた。特に首を斬られて殺される動画が公開された米国人ジャーナリストのジェームズ・フォーリーという人がいたが彼と同じ時期に拘束されて時に同じ施設に閉じ込められていたデンマーク人について書かれた作品。自己責任の議論が日本でもあったけれど本作品で取り上げられているデンマーク人もそうで、元々はデンマーク代表の体操選手だったのが靭帯損傷で体操の道を閉ざされ、好きなカメラの道に進もうとしてろくに中東や紛争の知識もなく言わば無邪気にシリアに出かけてしまい国境を越えた翌日には武装組織に拘束されてしまう。本作品の凄いところは拘束されている状態の悲惨さとともに残された家族がいかに武装組織にコンタクトし交渉を行い結果、どのようにして借金と募金で身代金を作りそれを支払って人質を取り戻したのか、を克明に描いているところ。理不尽な暴力に晒される人質の悲惨さはいうまでもないのだけれど正体が分からない連中から法外な身代金を要求され、その道のプロフェッショナルに依頼し開放の交渉と集金を行う家族の対応についてはこれまであまり描かれてこなかったと思うのだけれどこんな苦しいことになるのか、という印象。ちなみに同じ欧米人でもその当時はフランスやスペインは国が身代金を払ってくれる、ドイツやデンマークは国は基本的にノータッチだけど家族が身代金を払う事については支援する、アメリカ、イギリスは国はもとより家族であってもテロ支援になるので身代金を支払うことすらできない、という違いがありそれが人質の待遇にも反映されてしまうといったところも分かって非常に興味深かった。楽しい作品ではないけれども一読に値する作品かと思います。

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