シンメトリー
光文社文庫
誉田哲也
2011年2月20日
光文社
649円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
百人を超える死者を出した列車事故。原因は、踏切内に進入した飲酒運転の車だった。危険運転致死傷罪はまだなく、運転していた男の刑期はたったの五年。目の前で死んでいった顔見知りの女子高生、失った自分の右腕。元駅員は復讐を心に誓うが…(表題作)。ほか、警視庁捜査一課刑事・姫川玲子の魅力が横溢する七編を収録。警察小説No.1ヒットシリーズ第三弾。
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(無題)
あれー、姫川玲子シリーズなのに、どうして短編集?。それにはチャンとしたわけがあった。読者は本書の三分の二程読み進めてその意味に気づくように仕込まれている。 本書には玲子が関わった事件が7つ収められている。「東京」「過ぎた正義」「右では殴らない」「シンメトリー」「左だけ見た場合」「悪しき実」「手紙」である。真ん中にあたる「シンメトリー」を中心に、タイトルがシンメトリーになっている。例えば3編目の「右」と5編目の「左」が含まれているほか、最初と最後の編は漢字2文字となっている。 しかも内容もシンメトリーという凝りようだ。先ずは左右対称の中央に当たる第4編「シンメトリー」では、犯人が殺した死体を電車に轢かせて真っ二つ(シンメトリー)にする。第3の「右では殴らない」と第5の「左だけ見た場合」は女の犯罪が描かれている。第2編の「過ぎた正義」と第6編「悪しき実」は犯罪を許せない男の話だ。第1編の「東京」と第7編の「手紙」は玲子が駆け出しの頃に遭遇した事件の回顧談になっている。 姫川玲子ファンは、玲子の活躍を期待してシリーズを読んでいるはずだ。ストーリーを追っているばかりでは、作者の仕込みを見逃してしまうかも知れない。それを覚悟の上で遊びを仕込む作者の心意気に一種の清々しさを感じる。 もう一つ、本書ではカッコいい玲子が描かれているので、ちょっと紹介。それは「シンメトリー」で犯人を追い詰めるシーンである。大事なのは場所。その場所とは、玲子が逮捕した犯人が密かに思っていた高校生が列車事故で死亡した場所であり、犯人が右腕を失った事故現場である。さらに犯人が事故を起こした男を殺した現場でもある。ここで玲子は犯人に声をかける。 「やっぱりこちらでしたか」 「なぜ、ここだと分かったんですか」 「私が犯人だったら、こんな夜は、現場を見たくて仕方なくなるだろうって、そう思ったから」 うーん、キマってる‼︎。
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(無題)
短編だと途中で気付きました(笑) 疲れてるんだな、私。 さらさらっと読めました。
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