ピグマリオン
光文社古典新訳文庫
バーナード・ショー / 小田島恒志
2013年11月8日
光文社
1,012円(税込)
人文・思想・社会 / 文庫
強烈なロンドン訛りを持つ花売り娘イライザに、たった6カ月で上流階級のお嬢様のような話し方を身につけさせることは可能なのだろうか。言語学者のヒギンズと盟友ピカリング大佐の試みは成功を収めるものの…。英国随一の劇作家ショーのユーモアと辛辣な皮肉がきいた傑作喜劇。
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台詞が魅力的で面白い
バーナード・ショウの『ピグマリオン』を初めて読んだ。 面白い! 前半は階級差を利用したシチュエーションコメディ。後半は、男と女、上流階級と下流階級、異なる結婚観という交わることのない不条理。笑えて考えさせられた作品だった。 そう考えると、この前半部を切り取り、1時間ものの作品にした新座柳瀬高校の舞台は見事だった。 というのも、後半の不条理的なところは、芸術作品としては良いのだが、エンターテインメントとしてはお客さんがついていけない。 というのも、後日譚にも書いてあったが、物語は後半から観客の期待とは裏腹の結果となる。 それも良い意味のサプライズではなく、後味の悪い感じ。 個人的には嫌いではないが、あの後半をやってしまあと、前半のフリはなんだったのかと思わざるを得ない。 ビギンズとイライザが格闘しながらも、階級間の壁を越えて行くのなら、2人の間に友情を超えた何かが必然的に芽生えて欲しい。しかし、作者はあえてその道を選ばなかった。 ここにこの作品がエンターテインメントではなく、アートとしての側面が強くなっている気がする。 まあ、それでも、シェイクスピアを除けば、読むのが辛かった古典の戯曲が楽しく読めたのは新しい発見。 これからは、もっとたくさん戯曲を読んで、もっともっと力をつけていきたい。
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