
感染遊戯
光文社文庫 ほー4-9
誉田 哲也
2013年11月30日
光文社
704円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
会社役員刺殺事件を追う姫川玲子に、ガンテツこと勝俣警部補が十五年前の事件を語り始める。刺された会社役員は薬害を蔓延させた元厚生官僚で、その息子もかつて殺害されていたというのだ。さらに、元刑事の倉田と姫川の元部下・葉山が関わった事案も、被害者は官僚ー。バラバラに見えた事件が一つに繋がるとき、戦慄の真相が立ち現れる!姫川玲子シリーズ最大の問題作。
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(無題)
姫川玲子シリーズでありながら、玲子が主人公ではない。本作はガンテツこと勝俣健作と姫川班の若手刑事・葉山則之、そして前作『シンメトリー』に登場した元刑事・倉田修二をメインに据えた4つの物語を収録した中編集である。最終章の「推定有罪」でそれまでの3編で示された謎が明らかになる。 話は変わるが、次のような事件が報道されたのはつい先日の事なので、記憶に新しいだろう。大阪市北区の雑居ビルで「男が女性を刺した」と110番通報があった。女性は顔、胸など約10カ所を刺されて意識不明の重体。駆け付けた警察官が現場にいた大阪市西成区の無職、中勝美容疑者を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。 中容疑者は2008年に京都府鶴舞市で高校1年の女子生徒が殺害された事件で起訴されたが、無罪判決が確定した人物だった。 今回、中容疑者が逮捕されたことを受け、京都府舞鶴市で殺害された高校生の母親は「一報を聞いて、驚きと共に憤りを感じた。一番恐れていたことが現実となってしまった」とのコメントを発表した。 この報道に触れて誰しもが抱いた感想は、司法への絶望感ではなかっただろうか。「無罪となったが、やはり中容疑者が犯人だったのだろう。殺人を犯して平然と無罪を主張するような人物とともに生きる社会を安心・安全と言えるのだろうか。もっと言えば、危険人物は隔離してもらいたい」との本音である。 この事件を取り上げたわけは、本書の内容が正義が遂行されない事件に対して私的な復讐を行う物語だからだ。厚労省OBの長塚、外務省の松井、財務省OBの岡田が次々と殺害された。それぞれの事件の犯人は逮捕されている。殺された官僚の不正の犠牲者あるいは、義憤からの犯行だったのだ。 薬害エイズ事件の一方の首謀者である製薬会社・ミドリ十字がその後どうなったかを知っている人はどれだけいるだろうか。かつてのミドリ十字を連想させる要素の全くない田辺三菱製薬会社と社名を変えて現在も生き続けているのだ。この会社、日曜日の夕方と言えば、家族団らんの中で小さな幸せを実感できる時間帯、しかも番組名が「人生の楽園」、ナレターターが西田敏行、この番組のスポンサーに名を連ねている厚顔無恥振りには、私ならずとも腹が立とうというものだ。あるいはブラックユーモアなのだろうか。だから、本作で著者が当時の厚生省薬事局長を殺人のターゲットにする気持ち分からなくはない。
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taboke
(無題)
単なる短編集か(←ミステリの短編はあまり好きではない)と、読むのを止めようかと思ったら… (↑それなりに面白いのだけれど) それらすべてが繋がる長編だったとは。。。 結局、一気に読み上げました。 シリーズもの、ということも読後に知ったけれど、知らなくても充分面白く読めます。
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