ロスト・ケア

光文社文庫

葉真中顕

2015年2月10日

光文社

748円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奥に響く痛ましい叫びー悔い改めろ!介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、善悪の意味…。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る!全選考委員絶賛のもと放たれた、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

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書店員レビュー(1)
書店員レビュー一覧

長江貴士

書店員

葉真中顕「ロスト・ケア」

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0
2019年12月20日

みんなのレビュー (4)

KR

(無題)

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3.7 2024年07月15日

介護のリアル、高いところからの理想論vs経験者の現実論。 どちらも正しい、が、分かり合えない

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Readeeユーザー

本当に起こりそうな事件背景

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4.2 2022年06月16日

現代社会において大きな問題となる介護。特に家族介護の負担がキーワードになっている本書。 もし自分が当事者になったら、本当にこの手段がバレないならば採用してしまいそうなリアリティ(実際には成立しないと出版社が注釈を加えている)。 小説としての完成度の高さ。 読みやすい内容なのに重厚感のあるテーマ。 たくさんの人に読んでもらいたい一冊。

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Readeeユーザー

(無題)

starstarstarstarstar 5.0 2022年03月21日

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Readeeユーザー

望まれる死もある

starstarstarstarstar 5.0 2021年09月06日

ねぇ、あなたたちは〈彼〉に救われたと思ったことはない?】 本当につらかった。 うんざりしていた。 地獄だった。 心の底で早く終われと何度も願った。 この日が来るのを待ち望んでいた。。。 それなのに、失ったとたん。。。 その名を呼ぶ声が、感情が、行き場をなくした。 たとえ年老いて身体機能が自立できなくなっても、 たとえ認知症で自我が引き裂かれても、 人間は人間なのだ。 ときに喜び、 ときに悲しみ、 幸福と不幸の間を行き来する人間なのだ。 国が介護保険制度を施行した本当の目的は、闇の中に埋もれていた「介護」をビジネスの舞台に引っ張り上げること。ごちゃまぜだった、医学的な治療を主とする「医療」と、生活の介助を主とする「介護」を切り離す。社会保障の大義名分を得て、国民から介護保険料を徴収する。かきあつめたお金を元手に、介護を市場原理によって自立させる。 ≪老人福祉をビジネスとして民間にアウトソーシングすること≫ それが介護保険の役割だ。 介護はビジネス(資本の論理)の上に乗せられた。 「介護ビジネス」 それはつまり、助かるためにお金が必要になったということだ。 介護保険は人助けのための制度ではない。 介護保険によって人は二種類に分けらえた。 「助かるもの」と「助からないもの」だ。 介護保険を使えば介護サービスを一割負担で利用できる。ということになっている。 だが枠が決まっており、必ずしも本人が必要な介護が受けられるとは限らない。 結局、「充実した介護」を受けるためには、介護保険の範疇を超えて、利用者が実費を負担しないといけない。事実、ほとんどの有料老人ホームでは、実費負担のサービスを行っている。制度に左右されない分、きめ細やかな内容の良い介護ができ、経営も安定する。清潔でそれなりのサービスをしてくれる老人ホームに入るには、最低でも二千か三千程度は必要で、そういう大金を払える裕福層だけが、「安・全・地・帯」に入れる。 格差があるということは、お金があるということ。 日本で一番格差が広がっているのが老人、 そして一番お金を持っているのも老人、である。 この世で一番えげつない格差は老人格差である。 要介護状態になった老人の格差は冷酷だ。 「安全地帯」の高級老人ホームで至れり尽くせりの生活をする老人がいる一方で、 重すぎる介護の負担で家族を押しつぶす老人がいる。 「家族介護という日本の美風」 未だに多くの家庭で介護が原因のノイローゼや鬱が生まれ続けている。 介護の世界に身を置けば、誰でも実感する。 この世には死が救いになるということは間違いなくあるのだ。  【ねぇ、あなたたちは〈彼〉に救われたと思ったことはない?】 〈彼〉は言った。 殺すことで、「彼」と「彼らの家族」を救いました。 僕がやっていたことは介護です。 喪失の介護、「ロスト・ケア」です。 人間ならば、守られるべき尊厳がある。 生き長得るだけで尊厳が損なわれる状況に陥っているなら死を与えるべきだ。 「ロスト・ケア」は必要だったと。 精いっぱい支えると誓った、たった一人の家族でも、 心を込めても通じない どれほど尽くしても報われない ・・・この世にこれほどつらいことはない。 介護と両立できる仕事は限られる。 長い時間家を空けられないのでフルタイムの仕事はできない。 いつのまにか生活は困窮し、まともに三食食べられない事態に直面する。 飢えるなんてことは遠い国の話ではない、笑えるほど簡単にわが身に降りかかってくる。 貧すれば鈍する。 一度落ちてしまえば、穴から容易に抜け出せない。 綺麗ごとを言える、正義を振りかざせるのは、安全地帯にいる人間だけだ。 絶対に落ちない安全地帯。 穴の底での絶望は落ちてみないとわからないのだ。 罪を犯すことで、 それを死刑をもって償うことで、 国に、 国民に、 【介護現場の現状】を訴えようとした、                  一人の人間のお話です。 実際に介護をしている人、介護の仕事をしている人、国の介護保険制度の穴、たくさんたくさん考えさせられる本でした。将来自分がその立場になる可能性がゼロでは絶対ない、恐ろしくなりました。老後費用は2000万円必要、という2000万円問題。それを普通にのたまう国。それを支える若者たち。それを支える子どもたち。超高齢化社会がもたらす未来を、様々と見せつけられ、現状ですら過酷であることを再確認させられました。他人事ではない、誰もが直面するであろう介護。もっと真剣に穴だらけの介護保険制度を改正していかないと、悲惨な未来が待っている。昔からわかっていたこと。人口の変化はわかっていたこと。予測できたこと。それにもっと早く対応できたのではないか。今からでも、なんとかできないのだろうか。国民に自衛を求めるだけではなく、よりよく生きれる国づくりをしてほしい、そう思います。

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