アパリション
前川裕
2016年10月12日
光文社
748円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
予備校講師にしてミステリー作家の矢崎には、同じく作家を志す兄がいたが、ある日忽然と姿を消してしまう。折しも世間では二組の夫婦の失踪事件が注目を集めていた。犯人の手がかりとして不審人物が残した声が公開されたが、それは矢崎の兄のものだった!事件の裏で蠢く偽刑事の影。すべての謎が一つに収束するとき人間の歪んだ本性が明らかとなる、サスペンス長編!
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怖い隣人
完璧なセキュリティなど存在しない】 最近のマンションのセキュリティ事情をご存じだろうか? 正面玄関エントランスのオートロック方式。 来訪者はエントランスに設置されたカラーモニター付きのインターホンから訪問住居を呼び出し、電気錠を遠隔解錠してもらうシステムだ。しかし、共連れ入館(住民などが入るスキを狙って一緒に入館する)などを完全にシャットダウンできるわけがなく、不審者が入り込む可能性を全く否定することはできない。 防犯能力を高めたダブルオート方式。 エントランスに加えてエレベーターホールにもオートロック方式を取り入れている最新マンションもあるが、突破口など考えればいくらでもあるだろう。 今回の事件は普通のオートロック方式のマンションの一室で起こった。 それ以外にも関連がありそうな行方不明者が五人。 誰の死体も見つかっていない。 西洋の犯罪学者の言葉にこういうのがある。 死体の一番安全な隠し場所は、自宅である。 家族の中に密告者がいない限りは。 【本当の異常さには誰も気がつかない】 人間の見かけは、 それによって世間が信じ込んでいるステレオタイプは、 当てにはならない。 例えば体の大きな人間というのは、案外繊細で傷つきやすかったりする。 それが「誰にもわかってもらえない」というのが悲劇なのだ。 自分が「見かけ通りの人間ではない」ということを証明したい。 そういう欲求が犯罪に結びつくこともあるのだ。 まさにこのお話はステレオタイプを鵜吞みにしてはいけない。 そういう教訓を含んでいる。 まさかあの人が? よく知っている人物のはずだったのに、本当は何もわかっていなかった。 人間の歪んだ本性が明らかになるとき、すべての謎が収束する。 【忘れられた人々】 自分が他者からどう見られているのか。 よもや忘れられてはいないのか。 忘れられた人々の一人になることを極端に恐れる人間は多い。 死は「忘れられた人々」の仲間入りになること他ならない。 だから人は「生」に執着するのかもしれない。 あなたは、ひとりの人間の心の叫びを、 文章の端々で掬い取ることができただろうか。 人は誰しもどこかで救いを求めているのかもしれない。 気がついて欲しい。 自分を見て欲しい。 忘れないで欲しい。 離れていかないで。 そばにいて欲しい。 そんな声にならない叫びを、あなたは聞くことができただろうか。 もし聞こえていたのなら、、、、 途中でその悲痛な叫びに耐えられなくなるかもしれない。 聞こえていないなら、、、、 ” まさか ” と驚くことだろう。 あなたはどちらだろうか。
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