神聖喜劇(第3巻)

大西巨人 / のぞゑのぶひさ

2006年6月30日

幻冬舎

1,540円(税込)

小説・エッセイ

「わが日本の戦争は『殺して分捕る』が目的ではない。決して『殺して分捕る』が目的であってはならない」国軍の典型的少壮将校であるかに見えた村上少尉が発した言葉は、東堂太郎を驚かせる。彼の脳裡を巡る「日本古来の武士道」に象徴される日本人的心性の光と影。そして、入隊前に過ごした料亭「安芸」の“彼女”との情交ー。長門の海を見晴るかす宿の一室、「人生の喪服」をまとったかのような“彼女”と、「無名の戦争」における犬死にを覚悟した東堂との間で交わされる、静謐のうちにも互いに斬り込むがごとき言葉と性の応酬…。一方、内務班における日常は、次々に奇妙な情景を現出させる。人間社会の非合理が凝縮された軍隊という強大な相手を向こうに、自らの論理性のみを恃んだ東堂の冷静な“戦い”が続いていく。近づく波乱への蠢動を秘めた緊張の第三巻。

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