明日の子供たち

有川浩

2014年8月31日

幻冬舎

1,760円(税込)

小説・エッセイ

三田村慎平・やる気は人一倍の新任職員。和泉和恵・愛想はないが涙もろい3年目。猪俣吉行・理論派の熱血ベテラン。谷村奏子・聞き分けのよい“問題のない子供”16歳。平田久志・大人より大人びている17歳。想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている!児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。

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Readeeユーザー

(無題)

-- 2018年01月20日

思い起こせば有川浩作品との出会いは、「県庁おもてなし課」であった。 そこを入り口として自衛隊シリーズ、図書館戦争シリーズ、三匹のおっさんシリーズとほぼ全ての作品に目を通してきた。人の評価は様々であるが、僕が選べば「植物図鑑」と「阪急電車」を双璧とする。今回、この作品を加えてベストスリーとなろうか。この3作品に共通するのは、作者の良いところがストレートに出ているところだ。それを一言でいえば「思いやり」である。単なる優しさではなく、他人との人間関係に想像力を働かせた結果に生じる愛情といえようか。 本書は児童養護施設といった特殊な環境を舞台に繰り広げられる物語である。施設に暮らす子供たちや働く職員たちの心理を描いたヒューマンドラマである。一方で、私たちが普段伺い知る事のない児童擁護施設と真正面から向き合った社会小説の側面も持つものだ。 作者の思いやりは、施設の子供・田村奏子と新人職員・三田村とのやり取りに見事に表れている。作者は三田村に施設勤務を希望したのは「テレビのドキュメンタリー番組を見て、かわいそうな子供の支えになれたらと思って」と言わせている。それを聞いた奏子は「どうして、かわいそうな子供に優しくしたいっていう自己満足に付き合わなきゃいけないの。わたしたちはここで普通に暮らしているだけなのに。わたしたちにとって、施設がどういう場所かも知らないくせに!」と激しく三田村を攻撃する。奏子は自分たちを可哀想な子供とは思っていない。単に親に養育する力がなかったから、施設で生活しているに過ぎないのだ。三田村はそんな子供達を上から目線で「可哀想」と見ていた。多くの大人が陥り易いところである。善意から出ているだけに、悪意よりタチが悪い。 その最たるものがタイガーマスクである。マスコミも格好の美談と報道するが、実際のところは養護施設で生活必需品は予算化されて、行政から支給される。だから善意の塊であるタイガーマスクのランドセルは、翌年回しにされるのがオチだ。結局のところ、独りよがりの善意の押し付けに過ぎないのである。 ところで、本書で重要な役割を果たす田村奏子にはモデルがいる。現在は大学に通う施設出身の笹谷美咲さんである。彼女が作者に児童擁護施設の事を書いて欲しいと出した手紙が本書執筆の動機になっているようなのだ。その依頼に基づいて綿密な取材を重ねた上で本書が陽の目を見たというわけだ。何よりも施設の子供達に寄り添うような作者の愛情に満ちた視線が、丁寧な取材に基づく事を裏付けている。

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Readeeユーザー

明日のために

starstarstar 3.0 2020年06月21日

昨日の子供達である大人は、色んな事を忘れてしまう。思い出させてくれてありがとう。 「人生は一人に一つずつだけど、本を読んだら自分以外の人生が疑似体験できるでしょう。・・・踏み外しそうなときに、本で読んだ言葉が助けてくれたりとか・・」抜粋。

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