ラストレシピ
麒麟の舌の記憶
幻冬舎文庫
田中経一
2016年8月31日
幻冬舎
759円(税込)
小説・エッセイ / 文庫
第二次大戦中に天才料理人・直太朗が完成させた究極の料理を蘇らせてほしいと依頼された、“最期の料理請負人”の佐々木。彼はそれを“再現”する過程で、そのレシピが恐ろしい陰謀を孕んでいたことに気づく。直太朗が料理に人生を懸ける裏で、歴史をも揺るがすある計画が動いていたのだ。美食に導かれ70年越しの謎に迫る、感動の傑作ミステリー!
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誰のためのレシピですか
starstarstarstar 4.1 2020年04月15日
star
人はどうして料理をするのか。
単に胃を満たそうとするだけならば、生肉と木の実や果物をだけを食べていれば生きていけるし、生肉の中には内臓もあるしミネラルもとれるから、塩を摂取する必要もない。
なのに、わざわざ時間と手間をかけて料理をするのか。それは誰かを喜ばすため。手を加えていない食べ物と料理の違いは、きっと食べて喜ぶ人がいるかどうかだと思う。料理人は凄いですね。たくさんの人を毎日幸せな気持ちにさせることができるのですから。
この本は、一度味わった味を必ず再現できる「麒麟の舌」を持った料理人が「最期の料理請負人」という人生で最期に食べたいものを作ることを生業にするお話です。
ある時、満州時代に作られた「大日本帝国食菜全席」という204品に及ぶコース料理の再現を依頼されます。レシピを見つけ出すことからして困難、だから報酬も法外、胡散臭いと思いつつも依頼を引き受けることになり、レシピの不思議な因果に巻き込まれていきます。
古いレシピに詰まっていたものは、名もない料理人の深い深い愛情。何年何十年かかっても届くように、レシピに託したもの。それは大切な人を守るためついた嘘の裏にあった本当に伝えたかった言葉たち。
辛さや悲しさ、不幸なことというのは幸せなことよりずっと深く記憶に刻まれていく。だから過去を振り返ると辛いことが多い。ああ、幸せなことなんて本当にあったのかなと疑ってしまうほど、辛い記憶は強く消えてはくれません。でもひとつくらいはあるはず、自分が忘れているだけの幸せな記憶が。なかなか見つからない‥。大切な記憶は奥の奥の方に大事に大事にしまい込んでいるのかもしれませんね。
この本に出てくるレシピは、記憶に埋もれてしまった幸せだった時のことを思い出させてくれる処方箋(レシピ)です。
ああ、なんかしんどいな嫌だな辛いな、そう思ったとき、すごく小さなことでもいい、幸せだと思えた事を一つでもいいから思い出して。それがあなたの心を支えるレシピになる。
私もひとつ小さなレシピをすぐ取り出せるところに置いておこうと思います。挫けそうになったとき、すぐに見つけられるように。
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本物の“食いしん坊”
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