
韓国が漢字を復活できない理由
祥伝社新書
豊田有恒
2012年7月31日
祥伝社
836円(税込)
語学・学習参考書 / 新書
韓国はもともと漢字の国だった。中国への従属関係から公文書はすべて漢文であり、世宗王が創製したハングルは蔑まれ、知識階級が使うことはなかった。日本統治時代、日本製の漢語が大量に流入する。韓国で使われた漢字熟語の七、八割は和製漢語なのである。なぜ、韓国は、漢字を廃止したのか。その後、復活論がわき起こるたびに潰されてきたのはなぜか。韓国研究で名高い著者が、その深い謎に迫る。
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(無題)
韓国に行くと、町中ハングルが氾濫していて英語はおろか漢字を見かける事は全くない。一般の日本人にとって英語や漢字表記されていれば、何とか推測可能だがハングルでは全く想像もつかない。韓国の新聞では見出しに、漢字を見た覚えがあるし、アンニョハセヨが安寧からきている程度の知識では、本書の題名に首を傾げざるを得ない。 しかしながら、さすがプロの物書きである。この間の経緯が実に分かりやすく書かれていてスラスラと読める。ここらで題名の疑問に答えねばなるまいが、それには歴史的経緯を知らなくてはならない。 長い間、中国の冊封下にあった朝鮮では、公用語は漢字であった。しかもその漢文は修飾過多でとてもではないが、庶民に手の届くものではなかった。そうは言っても庶民と言えども生活していれば、訴訟事はついて回るし、文字の使用は避けられない。そこで、李氏朝鮮の世宗大王が庶民を憐れみ、国内の学者を動員して母音と子音の組み合わせによる表音文字・ハングルを発明した。ハングルは人類初の人工的文字でその構成は極めて合理的なので理解しやすく、朝鮮民族の誇りである、このために町中がハングルで溢れている、と私は理解していた。ところがである。実はそこに思いもよらぬ伏兵が隠れていたのである。その理由を早く知りたいでありましょうが、歴史的経緯にもう少しおつきあい願いたい。 今度は日本に関わる歴史的経緯である。明治の文明開化日本は欧米の概念をとりいれるために福沢諭吉・西茜らは、おびただしい和製漢語を作りだした。「哲学」も「経済」も「民主主義」も全部和製漢語であり、明治の先人が和製漢語に翻訳してくれたおかげで日本人は欧米の学問を日本語で学ぶことができるようになったのである。 さらに、日本に留学した中国人は和製漢語をほぼそのまま持ち帰って中国語の一部とした。「人民」も「共和国」も「共産主義」も全部和製漢語であり、「労働」の「働」にいたっては日本で作られた国字である。この事は著者は周知の事実と言っているが、私は日本人ですら案外知らないのではないかとおもっている。中国では和製漢語をとりいれたことは隠していないが、韓国ではタブーになっているのだという。なぜそんな違いが生まれたのだろうか。中国がとりいれた和製漢語は概念語中心であり「三権分立」のような中国語として不自然な語は「三権鼎立」のように改めた上でとりこんでいる。 ところが朝鮮半島では概念語のみならず生活語彙にまで日本語がなだれこみ、韓国語は後戻り不可能なまでに「言語的文化変容」をこうむってしまった。近代生活は和製漢語なしでは立ちゆかなくなってしまったのだ。韓国語では一般的な語彙の70%は漢語由来で、専門的な文書では90%以上になるというが、著者によるとその大半は和製漢語であり、韓国の漢字廃止政策とはすなわち日本隠し政策なのだという。繰り返しになるが、漢字を使うと日本語からの借用が一目瞭然となるのでハングル専用にこだわっているというのが著者の見立てである。 併合時代朝鮮総督府はハングルの普及を進めたが、学校で教えたのはハングル専用ではなく、漢字仮名交じり文のように漢字とハングルを併用する漢字ハングル交じり文だった。それが仇となって漢字ハングル交じり文は日帝の残滓として排撃され、反対にハングル専用主義がナショナリズムのシンボルとなった。
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