仕事に効く教養としての「世界史」

出口治明

2014年2月22日

祥伝社

1,925円(税込)

人文・思想・社会

人類5000年史から現代を読み抜く10の視点とは。京都大学「国際人のグローバル・リテラシー」歴史講義も受け持ったビジネスリーダー、待望の1冊!

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Readeeユーザー

(無題)

-- 2018年01月21日

仕事になんて効かなくてもいいんです。ましてや教養としての世界史なんて欲しくありません。知的好奇心を刺激するという意味でこんな面白い本はありません。歴史を知ることはどういうことなのかをしっかりと教えてくれます。この書名はビジネスパーソンに売らんかなの意欲に満ちた編集者がつけたものでしょうが、内容を正確にあらわしたものとは、言い難いですね。僕が編集子だったら「こんなにも面白かった世界史ー出口ワールドを覗いてみよう」ぐらいの題名にしますね。出口史観に圧倒されます。 著者は先ず歴史とは何かとの問いを投げかけ、ヘロドトスの『歴史』を引用して定義付けています。それによると「人間は愚かな殺し合い、戦争を繰り返してきた。阿保なことを繰り返して欲しくないとの想いを込めて記録したのが歴史である」との事です。 この本の最大の特色は、歴史的事実の持つ意味やその事実によって人間がどう動いたかを大掴みに解明するところにあります。歴史に対してそんな手法で迫る著者にとっては、人類は何故宗教を必要としたのか、神はどのようにして生まれたかの疑問は、当然の事でこの論考には大変に興味深いものがあります。何よりも歴史上で宗教が大きな役割を果たした事は認めながらも、宗教に対する醒めた視線は好感が持てます。 さて、本書から得た著者の最大のメッセージは「歴史は教科書に書かれた事を金科玉条のごとく信じるのではなく、複眼的視点を持つ事が大事」につきますね。僕たちは近代西洋史感に基づいて歴史を見ていますね。ところが、視点を変えると全く違う景気が見えてきます。西欧科学技術文明が進んでいて東洋やアラブ世界は遅れていると考えがちですが、これは19世紀以降に限った事で、もっと長い期間で見れば、東洋が豊かであった期間がズット長い事がわかります。 例えば中国のGDPの世界全体に占めるシェアの推移を見ると、1820年に32.9%あったものが1870年に17.1%に激減してます。この間に何があったかと言えば、アヘン戦争です。この戦争の実態は、英国が対中国の輸入超過をアヘンの密輸で穴埋めしようとしたところ、中国が強硬に出てきたため、武力で有無を言わせず屈服させたものでした。ですから、中国の勃興や台頭といいますが、単に元に戻ろうとしているとも言えるのです。 もう一つ、本書において興味深いのは、歴史を国ごとではなく、ブロックでとらえている点です。例えば僕たちは学校で、イングランドは王様が連綿と続いたアングロサクソンの議会の国というイメージ、フランスの場合はフランス革命前後からナポレオンあたりが強調されがちであり、ドイツはヨーロッパでは後進地域であって小国が分裂していたが、近代になってようやく1つの国家になった、このようなイメージで教わってきましたが、本書ではこの三国を一緒に考えてその関連性を解説しています。確かにその方が分かりやすいですね。 また、本書では歴史を気候変動、地理的な条件・位置関係、病原菌の伝染などに見ている点も新鮮です。その事によって各地域の人口や繁栄・衰退が決定づけられていったことが見えてきます。 最後にアメリカとの付き合い方について。「平たく言うと、おだてて頑張ってもらうのが1番である。あまり厳しく言うと閉じこもってヒキコモってしまい、それだと世界のためにならないから、ある程度は煽てて、でしゃばらない程度に、保安官をやってもらう」。ここには、普通の国になってアメリカとともに戦うなんて発想は、微塵もありません。

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