呉子起つ

中国・戦国時代初期の最強の軍事的天才、呉子（呉起）。生まれて初めての戦いで七千の魯軍を率いて斉軍三万を撃破し、魏に仕えては西河を挟んで強国・秦と七十六回戦って六十四勝、残りは互角で一度も負けなかった男。だが一方では、将軍になるために敵国出身の妻を殺した冷血漢という悪評がついて回り、連戦連勝の業績にもかかわらず、その才を妬まれ怖れられて讒言を受け、国を追われること二度、魯・魏・楚と三国を渡り歩いた悲劇の人物でもあった。近代合理精神に通じるその驚異の兵法とは？超人的な能力を持つ暗殺者など魅力的な脇役をちりばめて、「流転の将軍」の若き日の無頼から壮絶な最期までを、第一人者が描き切った注目の歴史巨編。