潮鳴り

葉室麟

2013年10月29日

祥伝社

1,760円(税込)

小説・エッセイ

俊英と謳われた豊後・羽根藩の伊吹櫂蔵は、狷介さゆえに役目をしくじりお役御免、今や“襤褸蔵”と呼ばれる無頼暮らし。ある日、家督を譲った弟が切腹。遺書から借銀を巡る藩の裏切りが原因と知る。前日、何事かを伝えにきた弟を無下に追い返していた櫂蔵は、死の際まで己を苛む。直後、なぜか藩から弟と同じ新田開発奉行並として出仕を促された櫂蔵は、弟の無念を晴らすべく城に上がる決意を固めるが…。

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(無題)

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3.6 2021年03月21日

希死念慮という言葉がある。平たく言えば、死にたいと願うことである。何か絶望的な状況に陥ったために、そこから逃れようとして自殺を企図するということではなく、漠然と死を願う精神状態である。これは、言わば病的な気分障害であるが、借金地獄やにっちもさっちも行かない人間関係を儚んで「自殺願望」を抱くなんてことは、長い人生に誰でも2度や3度は経験しているはずだ。本書は生きることに絶望して自暴自棄となった人間が再生する物語である。『落ちてしまった花は咲かない』。これは道理である。本書の主要な登場人物・櫂蔵、咲庵、お芳は、全員が言わば落ちてしまった花である。彼らは『1度目の花は何も知らずに生命力の勢いで咲いている。2度目に咲く花は、酢いも甘いも知ったうえで咲くのだから、もっと美しいはずだ』と信じて、恥辱と闘う道を選ぶ。その潔い生き様に感動が伴わないわけがない。

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