「いのち」が喜ぶ生き方
矢作直樹
2014年5月21日
青春出版社
1,485円(税込)
美容・暮らし・健康・料理
「治る力」も「生きる力」もすべて自分の中にある。「今」に感謝して「今」に生きるー魂と向き合う臨床医からのメッセージ。満ち足りた人生を送るヒント。
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(無題)
東大教授にして最先端の救急医療に携わる著者が『いのちが喜ぶ生き方』を指南しています。著者によれば、先ずは呼吸法を取り上げています。ヨガや座禅の深くゆったりとした呼吸法を取り入れると良いというのです。確かに現代人は緊張を強いられたり、ストレスにさらされて呼吸が浅くなっていますね。次は食事です。自らが食べたいと思う物を少量、しっかりと咀嚼して食べることです。その際に命をいただくことへの感謝。「いただきます。ごちそうさま」に心を込めて。さらに、著者独自の方法として、パワースポットに行く事の勧めがあります。必ずしもパワースポットとして有名な場所である必要はなく、自分が清々しい、心洗われると感じる場所であればOKだそうです。 これを実践すれば、いのちが喜ぶと著者は言います。これを容易と感じるか、困難と感じるかは人さまざまでしょうが、少なくとも僕はこれを無理なく自然体でできる人間は、手を合わせて拝む対象ではないかと思ってしまいます。自然とともに生きた古代人ならばまだしも、現代人は生きるために息を詰めて勝ち抜かねば先はないのですから。また、現代人を悩ます病気の大部分は生活習慣病といってよいでしょう。食生活や嗜好品をコントロールできれば、病人を半減させることも夢ではないでしょう。 さて、書名にもなっている「いのちが喜ぶ」とはどういう状況を指しているのでしょうね。こう考えると、問題はとってもむづかしくなります。どうしても著者の生命観、生死観に触れざるを得なくなります。著者の世界観の基本にはアミニズがあります。ですから、著者はいのちとは霊魂であると考えます。さらに霊魂の実体はある種のエネルギー体であると言います。これを言語で説明するのは困難なので、便宜的に霊魂という言葉を使い、生きている時は魂、死ねば霊と表現します。ですから、私たちは魂・心・体でできているんですね。身体である脳の活動が心(精神)となり、心の活動状態が意識・無意識で、その結果として生まれるのが記憶であり、その記憶は脳ばかりか魂にも記憶される、これが著者の生命観です。 このような生命観は、著者が緊急医療の現場に携わる中で現代医療の限界を感じたところから培われたもののようです。例えば、私たちは現代の医療が西洋医学であることを当然のごとく受け入れていますが、実は世界各国には中国伝統医学、イスラーム医学などがあり、それら医学の見地に立ってみると森羅万象が違った姿に見えてくる、ということに気づきます。つまり、著者の主張は医学は身体面からのアプローチばかりでなく、もっと全体的に人間を認識すべきだ、ということです。
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