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ちょっと使ってみたくなる「江戸ことば」100選
青春新書インテリジェンス
中江克己
2006年2月28日
青春出版社
803円(税込)
語学・学習参考書 / 新書
おきゃん、ちゃきちゃき、べらんめえ、棒手振、印篭、かわら版…おもしろくて粋なことばで江戸の風情がよみがえる。
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(無題)
先日自宅の電話が鳴ったので、出てみると保険会社のセールスであった。ま、どこの家庭でも良くあることである。ところが、である。電話を掛けてきた若い女性のセールストークには、唖然とすると共に猛然と腹が立ってきた。彼女の第一声が「保険のご案内でした」であった。勝手に電話を掛けてきて、人の時間を奪う事を何とも思わないばかりか、第一声が「でした」である。「でした」と過去形にするのは、「全てお話しました。これでおしまいです」という時に使う。これでも若い人の言葉遣いには理解がある方だと思っている。なぜなら、過去を見れば日本語が変化してきているのは、明らかであるからだ。これまでも、若い人の過去形の言葉遣いに、違和感を感じるとの指摘は度々聞かれた。例えばファミレスでのウエイトレスの「ご注文は◯◯でよろしかったでしょうか」である。これなどは、違和感はあってもコミュニケーションが成り立つので、まだ許せる。ところが件の電話嬢、冒頭から会話の終了を宣言している。別にこちらが望んでお話をさせてもらったわけでは無いのだ。こんな失礼なことは無い。コミュニケーションを拒否して、相手に不快感を抱かせる言葉遣いが今後、一般化するとは考えられない。 何だか、年寄りの繰り言みたいな展開になってしまったが、本題は「江戸言葉」である。言葉はコミュニケーションの手段ばかりか、抽象化、認知活動の上で重要な役割果たすものである。つまり、江戸言葉には江戸の人々の精神性や生活、風俗が凝縮されている。中でも江戸っ子の気風が昇華された江戸言葉は魅力的だ。 ダンディでは隙がなさすぎる、ちょいワルオヤジはアソビの緩さがあって好ましい。もしも「粋だね」と言われたら、最高の褒め言葉である。 粋とはあか抜けてさっぱりとし、色気があることを言う。しかも身なりばかりではなく粋には「世間や人情の表裏に通じて物分りが良い」と言う意味もある。その人のチョットした仕草からその人の思いを察して、その人が望む事を陰ながら応援する。そんなことができる男のことである。うーん、カッコいい。 本書の表題は「チョット使ってみたい江戸言葉」である。おいらが使ってみたいのは「まっつぐ行ったところの蕎麦屋でセイロを手繰っていかないかい」かな。
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