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ニーチェと悪循環
ちくま学芸文庫
ピエール・クロソウスキ / 兼子正勝
2004年10月31日
筑摩書房
1,650円(税込)
人文・思想・社会 / 文庫
妻の肉体を次々と客人に提供するという衝撃的な小説三部作『歓待の掟』(1953-60年)で欲動の共同体を望見したクロソウスキーが、フランスにおける有力なニーチェの翻訳者・研究家の一人として68年5月直後のフランス思想界に投じた、驚嘆すべきニーチェ論。人格の同一性の下にざわめく言語以前の無数の欲動、すなわち強度の解放という本書の提示した光によって、ニーチェの悲劇的生と思想はまったくあらたな相貌を明らかにする。大小の断片を積み重ね、自在な引用をつむいでゆく、それ自体破天荒で啓示的な反ー論述は、21世紀の今も誇らしく異端的な地位を失っていない。優れた翻訳による、みずみずしく真に独創的なニーチェ論の蘇り。
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