
アリス殺し
創元クライム・クラブ
小林泰三
2013年9月21日
東京創元社
1,870円(税込)
小説・エッセイ
“不思議の国”の住人たちが、殺されていく。どれだけ注意深く読んでも、この真相は見抜けない。10万部突破『大きな森の小さな密室』の鬼才が放つ現実と悪夢を往還する“アリス”の奇怪な冒険譚。
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starstarstar 3.4 2025年05月05日
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ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』の世界観をベースにしながらも、そこに本格ミステリとサイコホラーの要素を巧みに融合させた異色の傑作です。夢と現実、幻想と犯罪が交錯する構成は非常に独創的で、一見ファンタジックで不条理な世界に、緻密なロジックと残酷な真実が潜んでいるのがこの作品の魅力です。
物語は、現実世界の主人公が夢の中で「アリスの世界」に入り込み、その世界で起きる殺人事件とリンクするように、現実でも不可解な事件が起きていくという二重構造になっています。ファンタジーのような舞台設定にもかかわらず、事件そのものは非常にシリアスでグロテスク、そして論理的です。読者は、幻想世界の不可解な論理を手がかりに、現実の事件の真相へとたどり着いていくことになります。
特に印象的なのは、「不条理」が決して曖昧さの言い訳ではなく、むしろ緻密に設計された伏線とトリックの一部になっている点です。キャラクターたちは奇怪でありながら、どこか人間らしい葛藤や狂気を抱えており、夢の中の殺人が現実の痛みとして読者に突き刺さる構造も見事です。
読了後は「これは夢か、それとも現実か」という問いが残り、現実の境界すら揺さぶられるような感覚に陥ります。グロテスクさや不気味さに耐性がある読者であれば、その中に隠された論理美と物語の深みを堪能できるでしょう。
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