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独者
密室における急死は自殺としか見えない。矛盾した状況の中で懊悩するフレンチ警部が追求の果てに見い出した真相とは
子供向けの翻案を除けば、クロフツ作品を初めて読んだ。 日本の昭和の本格推理小説に似た雰囲気を持っていると感じた。 一九三二年に発表された、フレンチ警部を探偵役とする八作目の長編だ。 タイトル通り二つの密室殺人が描かれ、いずれも一見すると自殺としか思えないような状況だった。密室の謎が解かれる前に、自殺であることと矛盾する決定的な手掛かりを発見する辺りが面白い。 密室トリックの一部には、機械的とも言える物理トリックが使われており、その点においては作中のフレンチ警部より先にトリックを見破ることは難しかろう。しかしながら全体の真相と言うべきものは比較的シンプルであり、見抜きやすいとも感じた。
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