タルト・タタンの夢

創元推理文庫

近藤史恵

2014年4月30日

東京創元社

770円(税込)

小説・エッセイ

商店街の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。シェフ三舟の料理は、気取らない、本当のフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。そんな彼が、客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。常連の西田さんが体調を崩したわけは?フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか?絶品料理の数々と極上のミステリ。

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3.1 2019年05月07日

フランス料理は食べ慣れないので料理の説明を読んでも想像がつかない。肩ひじはらず食べれるフランス料理、こんなお店を見つけたら行きたくなる。嬉しいのは章立て毎に、登場する人物が説明をしてくれるので読み返しの必要がない。

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とも

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3.5 2018年01月24日

タルトタタンの夢 本書の目次には、リンゴのタルト、仔牛の腎臓網脂包み焼き、王様のお菓子、羊のチーズ、鵞鳥のコンフィのカスレ、ボンボン・オ・ショコラと言ったメニーが並ぶ。そう、本書の主役はフランス料理である。フランス料理といっても晩餐会や結婚披露宴で供される格式張ったものではなく、パリの庶民が街角のビストロで口にする、言って見ればB級グルメのようたものだ。ビストロ・パ・マルを舞台に、そこで起こるちょっとした事件の謎解きを行なうものだ。 語り部はビストロのギャルソン高築智行、謎解きは三舟シェフが担当する。フランス料理でシェフの名前が三舟ときたら、誰だってオテルドミクニのオーナーシェフ三国清三シェフを連想するってものだ。 閑話休題、ここで三国清三シェフがフランス料理修行の旅から帰国を決めたエピソードを紹介しておこう。リヨン郊外、三つ星レストランのオーナーシェフが三国さんの仕事ぶりを見ていて一言。「優雅でない」。三国シェフはこの言葉に大変ショックを受けたという。悩んだ末に得た結論が「帰国して日本のフランス料理を作ろう」だったという。三国シェフはこのころフランスで料理人としてすでに高い評価を得ていた。技術やセンスは第一級の域に達していたのだろう。しかし、フランス人のトッブシェフはさらなる高みを三国さんに求めた。三国さんは精進では身につけることができない文化の違いを己の限界として感じたのだろう。 さて、本書に戻って、事件とも言えない些細な出来事が起こる。例えば夜に店の傍の路地に年若い女の子が佇んでいたり、不倫カップルが店で食事をした際、女性が戻って来てシェフに打ち明け話をしたり、妻が家出したと嘆く男性客が来店したりである。三舟シェフはこれらの出来事の裏に潜む事情を見抜き、実に適切な対応をする。特に最終話で、一人のショコラティエが素数にこだわる理由にはぐっときた。 短編全てがビストロ・パ・マルの料理のように、時にはスパイスが効いた、時にはやさしい甘さの、そして暖かい話である。暖かいと言えば各編の最後には、シェフからヴァン・ショー(スパイス入りホットワイン)が振る舞われる。これで心身ともに暖まる。

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