乱流 米中日安全保障三国志

秋田 浩之

2016年9月5日

日本経済新聞出版社

2,420円(税込)

人文・思想・社会

米国にとって、台頭する中国にどう向き合い、安定した関係を保っていくのかは、未経験の難題だ。旧ソ連とは違い中国は軍事ではライバルだが、経済では欠かせない協力相手だからだ。米ソの角逐は、経済力でまさり、民主主義を重んじる米国の勝利に終わった。では、米中の攻防はどんな結末に向かうのか。それが日本の将来に意味するものは何か。 かつては、米国の政権交代に伴い最初は敵対、後半は融和というサイクルが見られた。しかし中国の存在感が大きくなった結果、中国が引き下がらなければ、米国はかつてソ連を崩壊させたのと同様に、軍拡競争に巻き込む決意。その証拠に中国が最も手薄な潜水艦網をアジアに展開し、中国を刺激する計画を明らかにしている。 一方、中国は冷静な大戦略に基づいて新たなリーダー国家をめざし動いているという中国覇権陰謀論が盛んだが、習近平訪印の際に軍の現場が暴走し一触即発の事態を招くなど、ガバナンスが働いていないことを露呈している。 このような様々な思惑が絡んだ米中関係を前提として日本はどのようなシナリオを構築すべきなのか。嫌韓論、嫌中論の本ばかり賑やかななか、本書は冷静に米中の駆け引きを明らかにする。日本に迫られる4つの選択肢を提示し、米中の思惑についての筆者の仮説を、日本では詳細に報じられていないエピソードで補強して解説する。 第1章 青と赤に裂かれるアジアーー「冷たい平和」の時代に 第2章 中国の急所を狙えーー米戦略家、極秘のシナリオ 第3章 「幻想は、もう消えた」--対中協調派、崩れた牙城 第4章 日米同盟が崩れる日ーー息切れの危うさ 第5章 米国を追い出せーー中国、新たな「万里の長城」 第6章 安定は続くか、乱世の幕開けかーーアジア太平洋、4つのシナリオ 第7章 日本、「外交三国志」を生き残るにはーー将来への処方箋

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