マーティン・ドレスラーの夢
スティーヴン・ミルハウザー / 柴田元幸
2002年7月31日
白水社
2,200円(税込)
小説・エッセイ
摩天楼がつぎつぎに建ちはじめた二十世紀初頭のニューヨーク。ひとりの若者が壮大な夢を胸に、成功の階段を昇っていった…ピュリツァー賞受賞の傑作長篇小説。
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ケムケム
古き良き時代のニューヨークが舞台。マーティン・ドレスラーの夢想や幻想によって、読者も現実と非現実を行き来することになる不思議な作品。
原題は「MARTIN DRESSLER The Tale of an American Dreamer」 これを日本題「マーティン・ドレスラーの夢」にしたのは、作品中のかなりの部分を占める主人公の夢想や幻想のためかもしれない。(私の想像) 9歳から30歳過ぎまでのマーティンの成功と挫折を主軸にしながら、20世紀初頭のニューヨークの開発も語られている。主人公のアイディアや苦しみを表現する時に用いられる夢想や幻想の文章表現が特徴なのだと思う。ニューヨークの土地勘がない私は、ネットで地理を確認しながらでないと頭に映像を作ることが出来なかったが、CGやアニメーションにすればとても面白い作品ができるだろう。 ただ個人的に物足りないのは、登場人物がみな淡白だということ。病的な妻とその家族も、その異常な関係は表現されているが、心理描写がほとんどない。しかし、それがこの筆者のテイストかもしれない。読者の方に想像させるのだ。(他の作品を読んだことがないので、何とも言えないが) 何年かしたら、また読みたい。
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