
デイヴィッド・ヒューム
哲学から歴史へ
ニコラス・フィリップソン / 永井大輔
2016年1月27日
白水社
2,420円(税込)
人文・思想・社会
歴史に向かった哲学者の軌跡 デイヴィッド・ヒュームの名を知らない者はいないだろう。ジャン=ジャック・ルソーやアダム・スミスとの華やかな交流(スミスはヒュームの存在なしには存在しなかった!)に象徴されるように、彼は18世紀啓蒙主義哲学の輝ける主役と言っていい存在である。 ただ、意外なことにその実像はこれまでほとんど知られてこなかった。本書は『アダム・スミスとその時代』を著して初めて等身大のスミスを分かりやすく提示した著者が、ヒュームの全体像に迫る好著である。 その際、著者が重視するのは「印刷機から死産」した『人間本性論』ではなく、日本では(そして本国でも)ほとんど誰も取り上げてこなかった『イングランド史』である。 こうした重心の移動によって浮かび上がってくるのは、〈哲学〉から〈歴史〉へと向かった巨人の姿であり、またそうした営為を生んだ彼の時代である。 ヒュームに対する評価は、かつてないほど高まっているが、スコットランド啓蒙研究の第一人者による本書は、まさにその中心に位置すると言っていい。今後数十年の座標軸となる決定版。 まえがき 年表 プロローグ 第一章 生涯と著述 第二章 政治、洗練、文人たち 第三章 懐疑論、科学、人間の自然史 第四章 イングランドの歴史に向けた哲学者の思惑 第五章 『イングランド史』・その一ーーステュアート王家と〈比類なき国制〉の起源 第六章 『イングランド史』・その二ーーテューダー王家と初期イングランド史 第七章 哲学、歴史、『イングランド史』 訳者あとがき 註と文献 索引
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