地図になかった世界

Ex libris

エドワード・P.ジョーンズ / 小澤英実

2011年12月31日

白水社

3,300円(税込)

小説・エッセイ / 旅行・留学・アウトドア / 人文・思想・社会

舞台は南北戦争以前のヴァージニア州マンチェスター郡。黒人の農場主ヘンリー・タウンゼンドはかつて、郡一番の名士であるウィリアム・ロビンズに、両親とともに所有される奴隷だった。少年の頃、ロビンズの馬丁として献身的な働きをしたヘンリーは、いつしかロビンズから実の息子とも変わらないほどの愛情を受けるようになる。ヘンリーの父オーガスタスは、金をこつこつと貯め、苦労して一家全員の自由を買い取ったが、大人になったヘンリーは、みずから黒人奴隷のモーゼスを購入することで両親と決別してしまう。だがそのとき、大農園の主となったヘンリーが急逝する。若き妻ひとりと数十名の奴隷たちが残された農園のなか、「主人」と「奴隷」の関係にしだいに波紋が生じはじめる…。ピュリツァー賞、全米批評家協会賞、国際IMPACダブリン文学賞受賞作品。

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toruo

(無題)

-- 2022年05月12日

この作品は数年前に一度読んでいるのだけど流し読みというかちゃんと読めていなかったという思いがあり後悔が残っていたために再読した。南北戦争前の南部のある郡で一番の有力者である白人農園主に所有されていたある黒人奴隷がコツコツと金を貯め、まずは自身、続いて妻の、最後に息子の身分を順次買い戻して自由民となるのだが、最後まで残された息子が白人農園主に気に入られて農園の一部を格安で譲られ、自身も農園主となる。黒人ながら農園主として同じ黒人を奴隷として所有していく息子と息子のことをどうしても許せない父親、同じ黒人に奴隷として所有される者達の物語。早い段階で若き黒人農場主が病死してしまい若い妻が奴隷達と共に残される。そこで何か大きな変化が起こるのかというとそうではなく、それでいて関係するみんなに少しずつ変化が生じていき、という展開。黒人の黒人奴隷所有者は歴史上、実際に何人か存在していたらしい。南部の奴隷をテーマにした作品では往々にして白人農場主と黒人奴隷、という関係が語られると思うのだが所有者側も黒人にしたことでより複雑な物語となっている。特に主人公を設定せず登場人物全ての物語をそれぞれ語っていくことで大きな流れを作っている作品なので途中まではかなり読みにくさがあるのだけれど慣れると作品は世界に引き込まれてしまう、そういう印象。やはり凄い作品だった。

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