ガルブレイス

異端派経済学者の肖像

根井 雅弘

2016年8月28日

白水社

2,200円(税込)

ビジネス・経済・就職

〈ゆたかな社会〉を超えて  ジョン・ケネス・ガルブレイスは我が国で人気の高い「異端派」経済学者である。彼が亡くなって今年でちょうど10年。この間リーマンショックをはじめとした経済危機が相次ぎ、正統派経済学を批判し続けた彼の足跡が改めて注目を集めている。  ガルブレイスは既成の「通念」(「制度的真実」)にとらわれることなく、まず現実を直視し、その現実の分析ないし理解に必要と考える場合、自ら新しい概念を創造した点にユニークさと魅力がある。  『アメリカの資本主義』では「拮抗力」、『ゆたかな社会』では「依存効果」、『新しい産業国家』では「テクノストラクチュア」の析出というように、彼の概念は正統派経済学の狭い理論枠組を超えて、時代を鮮やかに切り取っていった。異端たるゆえんである。  一方、こうした彼への関心の高まりにもかかわらず、評伝の類はこれまでほとんど存在しなかった。本書は20世紀経済学を俯瞰しながら、ガルブレイスの思想と行動を位置づけた稀有の評伝になる。資本主義にガルブレイスはいかに向き合ったのか? 小社で刊行した初期の名著『アメリカの資本主義』(新川健三郎訳、根井雅弘解説)と併せて手に取りたい一冊。

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