ふるさと銀河線

軌道春秋

双葉文庫

高田郁

2013年11月12日

双葉社

660円(税込)

小説・エッセイ / 文庫

両親を喪って兄とふたり、道東の小さな町で暮らす少女。演劇の才能を認められ、周囲の期待を集めるが、彼女の心はふるさとへの愛と、夢への思いの間で揺れ動いていた(表題作)。苦難のなかで真の生き方を追い求める人びとの姿を、美しい列車の風景を織りこみながら描いた珠玉の短編集。

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ひさだかおり

書店員@精文館書店中島新町店

(無題)

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0
2020年01月16日

みんなのレビュー (1)

Readeeユーザー

(無題)

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3.5 2018年01月26日

歳をとると涙腺が緩くなるのだろうか、いや、年寄りは喜怒哀楽に動じなくなるとも思えるが、少なくとも高田郁の小説にあっては涙なくして読むことはできない。何処にも憤りをぶつけることのできない、辛く寂しい人生の局面が訪れる可能性は誰にでもあるものだ。それが人生の黄昏時期である中年以降であるなら、侘しさはより一層だ。どんなに辛くても自分の責任として背負い込んだ荷物の重さから、男の心を暖かく開くのは、パートナーの思いやりと人生を共に活きる同士的愛情である。そんな想いを新たにさせる場面に遭遇した時、涙を禁じ得ないのだ。第一章『お弁当ふたつ』はリストラ解雇された夫が家族に言い出せないまま、二ヶ月間も毎朝家を出て房総半島を一周する電車に乗って時間を潰す話である。 本書に収録された短編は、軌道春秋とサブタイトルにある通り、九編全てが鉄道に纏わるお話しで、人生の一場面を印象的に切り取っている。多くは辛く悲しい内容だが、人と人との絆が希望を与えているのが共通している。 標題にもなっているふるさと銀河線は、北海道の北見から池田までの全長140キロ、道東の雄大な大自然の中を小さなディーゼル車が懸命に走る路線だ。しかし、銀河といって誰もが思い浮かべるのは、銀河線ではなく宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』である。そして星子は、これを一人芝居に仕立てて、コンクールで優勝した。まだ15歳の中学生である。演劇の才能の可能性に期待して当然である。しかし、星子は頑なにまで地元陸別の高校進学にこだわるのだった。星子は両親を事故で失い、兄が自分を犠牲にして親代わりとなって育ててくれたことへの遠慮があるのだろう。華やかな演劇ではなく、地味な福祉への進路を当然のこととする星子には、そんな心理が働いているようだ。しかし、兄は妹の幸せを願っている。兄は恩師や周りを動かして妹の心変わりを促すのだった。

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