イルカ漁は残酷か

平凡社新書

伴野準一

2015年8月13日

平凡社

924円(税込)

ビジネス・経済・就職 / 新書

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Readeeユーザー

(無題)

-- 2018年01月21日

和歌山県の太地町がどこに位置するか、正確に言い当てられる人はそう多くなのではなかろうか。ましてや関東の人間にとって、馴染みのない土地である。最近でこそ熊野古道が世界遺産に指定されて、近辺がクローズアップされているが、それでも太地町まで足を伸ばす人は稀であろう。僕はもう20年も前になろうか、那智の火祭りを見に行ったついでに、クジラ博物館とイルカショーを見た覚えがある。併せて南氷洋の捕鯨船で砲手をしていた人のお話を聞いた。その時彼のの言葉「日本では、捕獲した鯨類は、食料としてだけでなく、工芸品の材料をらはじめ余すことなく利用してきた。石油の利用が始まるまで、鯨油の採取のみを目的として捕鯨を行い、大量に鯨を殺しては、その大部分を海に捨ててきた一部の外国の捕鯨とは違う」との言葉が今でも耳に残っている。 本書は「イルカ漁は残酷であるのか、あるいは残酷でないのか」という問いをタイトルとしているが、 太地町を中心としたイルカ漁の歴史的経緯と、太地町周辺のイルカ漁・反イルカ漁運動に関わる人たちは、イルカ漁についてどう思っているか、ということに大部分のページが割かれている。 したがって、本書の立場はあくまで中立的で、イルカ漁に関するあらゆる事に言及している。僕のように知識を持たない人間にとって新鮮な驚きを覚えるところが何箇所もあった。例えば、イルカは小型鯨類に分類され、鯨と同種だったとか、伊豆半島の川名や富戸でかってはイルカ漁が行われていたとかである。 もう1つは、物事の判断は沢山の事実を積みあげた上で行わないと、正しいジャッジにはならない、とのごくありふれた結論を再認識した。その意味で僕には動物福祉の視点が欠けていた事に思い至った次第である。

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