百年文庫 94

堀田 善衞 / 小山 いと子 / 川崎 長太郎

2015年1月2日

ポプラ社

825円(税込)

小説・エッセイ / 人文・思想・社会

北の海の廻船問屋、望楼のある古家の庭で老人が鶴を追うー。かつて帰船の宴や客人でにぎわった旧家の話(堀田善衛『鶴のいた庭』)。旅先で出会った子どもは、脚の悪い父の野卑で傲慢なふる舞いを恥じているようだった。親子の情愛の絆を一瞬の光景に刻みこんだ小山いと子『石段』。作家志望の「私」のかわりに実家の魚屋の跡継ぎに決められた小学生の弟。「私」は気がとがめてならないが…(川崎長太郎『兄の立場』)。銀波の残映のようによみがえる記憶、海辺の家族の物語。

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