
ロシアとは何か ─モンゴル・中国から歴史認識を問い直す─
宮脇淳子
2023年10月31日
扶桑社
1,760円(税込)
人文・思想・社会
アイデンティティーもわからない、 イデオロギーも失われた国の焦燥はどこから来るのか? ロシアを紐解けば世界がわかる! 「偉大なるロシアの復活」を標榜してウクライナ侵攻を続けるプーチンのロシア。一体、プーチンの描くロシアとは、何百年前の、どのようなロシアなのか? ロシア人とはどのようなルーツの人々なのか? 習近平の中国もまた「一帯一路構想」を提唱するが、ユーラシア大陸全体を支配する世界覇権をめざしているに等しい。 「文明と文明の衝突の戦場では、歴史は、自分の立場を正当化する武器になる」と著者 は説きます。ところが、「イスラム文明の内部では歴史学は意義の軽いものにすぎず、 地理学の補助分野」であり「いまでもイスラム諸国は、イスラエルやヨーロッパ・アメ リカ諸国との関係において、自分の言い分がなかなか通せず、つねに不利な立場に立た されている」。また日本でも、自虐史観に反発する人は対抗するものとして日本神話を 持ち出したりするように、「歴史とは自分たちが納得できるように過去を説明するスト ーリーであり、文化や立場、国ごとの世界感や歴史認識により、その筋書きが違ってく る。よって、史実が明らかにさえなれば、紛争の当事者双方が納得し、問題が解決する というようなものではない」……と本書には、まさに現代の不安定な世界情勢を読み解 く「歴史認識」への示唆が凝縮されています。 著者の夫であり師である碩学、岡田(故岡田英弘)史観のエッセンスを紐解きながら、 日本人にとっての世界史理解、世界で果たすべき役割に導く内容です。
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