親切の人類史

ヒトはいかにして利他の心を獲得したか

マイケル・E・マカロー / 的場知之

2022年12月20日

みすず書房

4,950円(税込)

人文・思想・社会

人間の「利他の心」の存在はどのように説明できるだろう? 一筋縄ではいかないこの問いに、進化生物学と慈善の歴史という観点から挑みかかる。 「利他行動」は生物学の難問の一つだ。ヒトをはじめ、他個体を利する行動をとる動物は実際に存在する。だがしかし、寛大にも他者を思いやる個体の遺伝子は、狡猾な個体に出し抜かれて繁殖機会を奪われ、淘汰されてしまうのでは? 生物学者たちはこのことにおおいに悩み、利他行動を説明できる理論を求めて奮闘してきた。 ただし、人間の利他の心は、生物学だけで完全に説明することはできない。社会福祉制度や慈善活動などの方法で、血縁や地域を超えた「完全な赤の他人」にまで援助の手を差し伸べる動物は人間以外にいないのだ。ここには、何か特別な説明が必要になる。著者によれば、一万年の人類史における「七つの大いなる苦難」を、人類がどう解決してきたかが説明のカギだという。 本書では、利他行動に関するいくつかの理論の要点とその妥当性を検討したのち、歴史を通して力を発揮してきた人間特有の能力を鮮やかに提示する。人類史上もっとも寛大な「思いやりの黄金時代」を生きる私たち。ここへ至るまでの道程を照らし出す、本能と理性のビッグヒストリー。 第1章 思いやりの黄金時代 第2章 アダム・スミスの小指 第3章 進化の重力 第4章 すべては相対的だ 第5章 ミスター・スポックへ、愛を込めて 第6章 大いなる報酬 第7章 孤児の時代 第8章 思いやりの時代 第9章 予防の時代 第10章 第一次貧困啓蒙時代 第11章 人道主義のビッグバン 第12章 第二次貧困啓蒙時代 第13章 成果の時代 第14章 理性が導き出す思いやりの理由 謝辞 原注 参考文献

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